A*H
一度はやってみたいシリーズ
相変わらずの突発SS。・・・鳥肌立ちそう(笑)>>セフィリオ×オミ 2004/04/17 up
とても
大切な人が います
そして
大好きな人が います
【04:日常】
朝日が眩しくて、目を開く。
そこはいつもの自分の部屋で、自分のベッドの上で。
「おはよう!早く着替えて、ご飯食べに行こうよ〜!」
心地いいノックの音と共に、顔を覗かせる姉がいて。
「う、うん!わかった!すぐ行くから・・・!!」
慌てて返した言葉に、大きく笑いながら頷いて、姉はその場を去る。
少し肌寒い風にシーツを引き寄せれば、隣で身じろぐ体があって。
「・・・おはよ」
「おはよう・・・ございます」
瞼が重そうにゆっくりと開いて、鮮やかな蒼が朝日を受けて光る。
空よりも濃くて、水よりも透明で。
不思議なその色に、僕は微笑んで返した。
「・・・んっ・・!」
身体を起こしたセフィリオが、ふと僕の腕を引いて腕の中に抱き込む。
同時に、柔らかく塞がれる唇。
驚いて口を開けば、するりと、入り込んでくる舌。
「・・・ッ!」
腕を突っ張っても、髪を引いても、キスは止まらずに深くなる一方で。
パチン!
「・・・っった〜・・・!」
「せ、セフィリオが悪いんだから・・・ッ!」
頬を抑えてうめく彼をほったらかしで、僕は身支度を整え、部屋を飛び出した。
一気に走り抜けて、食堂に辿り着いた僕を呼んでくれる、姉の声。
「オミー!こっちだよ〜」
テーブルには、既に食事が並べられていて。
座った僕に、姉は、くすくすと笑いながら訊いてきた。
「セフィリオさんは?・・・また、ケンカしたの?」
「・・・!ケンカなんて・・・」
「ウソ。顔に書いてあるよ?・・・『ごめんなさい』って」
「・・・・・〜〜〜」
俯いて、黙り込んだ僕の頭を、ナナミの手が滑る。
表情には出したつもりはない。
だけど、ナナミは必ず、些細なことでも僕の変化に気付く。
「お姉ちゃんは、いつもオミの味方だけどね」
無条件で捧げてくれるそのいっぱいの愛情に、僕も小さく笑う。
「『自分が悪いと思うなら、先に謝れ』・・・だったけ?」
丁度、食堂の入り口にセフィリオの姿が見えた。
立ち上がって、傍に走り寄る。
「・・・ごめん、なさい。いきなり叩いたりして」
「・・・いや。痛くはなかったしね」
小さく笑い合って、ナナミの待つテーブルへ足を向けた。
そこには、いつものように、笑っているナナミが。
とても
大切な姉が います
そして
大好きな恋人が います
END