A*H

一度はやってみたいシリーズ

セフィリオ×オミ 2004/01/18 up

【11:寝顔】






ふと眩しさに瞼を焼かれて、小さくうめきながらもゆっくりと目を開く。

覚醒していない思考と、まだぼんやりとする視界の中に、柔らかな寝顔が見えて。

驚いて瞬きを繰り返し、今度はしっかりと目を開く。

暖かい胸に引き寄せられて、僕の頭の下には彼の腕。

今日もまた僕は、抱きしめられて眠っていたのだろうか。

少し視線を上げると、視界のすぐ傍に唇が映る。

ふと、無意識にそこへ触れるように手を伸ばした。

いつも全身に触れてくる、セフィリオの唇は思った以上に柔らかくて。

思わずくすくすと笑ってしまった。そうして、そっと口付ける。やっぱり柔らかい。

薄く開いたそこから、小さく漏れる寝息が僕の唇に伝わる。

起こしてはいけないと、慌てて離れようとした僕の身体を、彼の腕が引きとめた。

抱き寄せられた体から伝わる鼓動の音に、僕は擦り寄るように身を寄せ、もう一度瞼を閉じる。

朝日はもう顔を出したけれど。

もう少しこの腕の中で安堵していたいから。






-----***-----






小さく身じろいだ気配で目が覚めた。

だけど、瞼は開かない。

未だ、深く眠っている振りを続ける。

オミは、意地っ張りだから。

こういう時にしか素直になってくれない。

眠っていると分かると、オミは色々と触れてくる。

瞼や頬、唇に。

我慢できなくなったのか、指と思われた感触の後柔らかいそれが続いた。

触れるだけの軽いキス。

思わず追いかけてしまいそうになる自分を宥めて。

腕の中から逃げ出そうとしたオミを引き寄せ抱きしめた。

眠っていると思っているのだろう。

素直に身を摺り寄せて、甘えた様子でもう一度瞼を閉じた。

空にはもう朝日が昇っているけれど、今日は少し寝坊しよう。


腕の中の暖かい存在を手放してしまいたくないから。




END




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