*Form of love*
その後、オミもセフィリオも暫くはベッドの住人だった。
先に回復して動き回れるようになったのがオミの方であったのは、セフィリオの与えてくれた気のお陰だろう。
セフィリオ自身、もう自分の家に戻ってもいいのだが、オミがそれを許さなかった。
まだろくに歩き回ることも出来ないのに、トランにどうやって戻ると言うのか。
・・・ルックやビッキーに飛ばしてもらうという手もあるが、セフィリオはあえてそれを言わずにいる。
ココに留まりたいのは、セフィリオも同じだからだ。
「さ、終わりました。今日はもう寝ましょうか」
濡れた布でセフィリオの身体を清めていたオミが、そう言ってベッドから離れようとする。
勿論セフィリオはその腕を取って、引き止めた。
「どうかしました?」
いまだ軽くしか動けないセフィリオの周りの世話をしているのは、何故かオミだ。
グレミオはと言えば、セフィリオ自身に家で待つように言われてしまった手前、出て来れないでいる。
グレミオの内心は気が気でないだろうが、セフィリオにとって、それは二の次で・・・。
近くにオミがいるから。今はそっちの方が嬉しい。
「オミ、またやって・・・?」
「・・・まだ、痛むんですか?」
「少しね・・・」
就寝前、身体を動かしたセフィリオが苦痛に顔を歪めたことから全ては始まる。
傷自体は完全に塞がっているが、無理矢理皮膚の組織を繋げた事には変わりなかった。
ジョウイに刺された、あの腹部の刀傷だ。
縫い痕が痛々しいそれを見て、オミはふとそこへ小さなキスを送った。
『早く治る・・・・おまじないです』
何が気に入ったのか、それ以来セフィリオは寝る前に必ずそれを所望する。
「・・・はい、終わりです。効果あるんですか?」
「いや?わからないけど」
「・・・・じゃあ何で?」
別にキスするのが嫌ではないのだけれど、こう何度も何度も頼まれるなんて思わなかったオミだ。
セフィリオは嬉しそうに笑って、手を振ってオミを招く。
「?ぅわっ!」
急に身体を引っ張られ、オミはバランスを崩す。
ベッドに横になったままのセフィリオの上に乗るようにして、倒れてしまった。
反射的に起き上がってセフィリオの傷を確かめる。
「ご、ごめん!傷・・・!」
「大丈夫だから、もっと・・・」
近くに、おいで。
手を伸ばされて、オミは断れずにゆっくりとその手を取った。
じん・・・と、暖かいその手。
オミの手など、包み込んでしまうほど大きいのに、指は細くて平は滑らかで・・・。
あれだけ鍛錬を積み上げた手とは思えない。だけど、この手に、何度も守られた。
「・・・暗い顔して、何考えてるの?」
「あ、いえ。・・・なんだか機嫌がいいですね」
「だってオミが傍に居るから」
「は・・・・・・」
即答で返された返事に、オミは一瞬固まってしまう。
その隙を見逃すようなセフィリオではなく、小さく笑って唇に触れた。
「な、っちょ・・・!あぁもうっ!」
一気に頬を染めたオミを見つめて、嬉しそうに笑う。
「うん。それに今日は優しいしね」
「いつもと同じですよ」
「違うなぁ。微妙にね」
くすくすと笑いながら、セフィリオは部屋の窓から外を見る。
もう月は上まで昇ってしまっていて、空は濃紺に染まっていた。
こんな静かな夜なのだから、もう見張りの兵士以外に起きている者など居ないだろう。
「ねぇオミ。お願いがあるんだけど聞いてくれる?」
-----***-----
オミが世話役になってから何度も何度も頼まれた『お願い』
半分以上が冗談でからかうようなものばかりだったが、先程頼まれたのは別段断る理由もない。
「・・・はー、久し振りで気持ちいー・・・」
「いつも拭くだけでしたもんね」
傷はもう塞がっているのだから、風呂を避ける理由もなかった。
けれど、まだあまり動けないままの体力のことで躊躇って、いつも入っていなかったのだ。
「ねぇ、身体洗ってくれる?オミも一緒に入ろうよ」
「でも僕はさっき・・・って、え?ぼ、僕がですか・・・?!」
オミは先程入浴を済ませていたため、夜着を着たままセフィリオに湯をかけていたのだが。
「・・・嫌なんだ?」
「べ!・・・別に。嫌という訳では・・・」
いつもは立場が逆なのだ。
洗ってもらう事はあっても、洗ったあげた事はない。
なんだか今日は少しおかしい。
甘えられる事に慣れてないオミは、少し困った顔でセフィリオを見つめた。
その目を見て、セフィリオも納得する。
考えてみれば、セフィリオは今も昔も『坊ちゃん』で。
人に甘えて生きていくのが当たり前の生活をしていたのだ。
それに比べてオミは過酷な幼少時から、生き残る為に必死で生きてきた。
甘える事も、甘えられる事も・・・・・・オミには経験したことがないから。
「甘えられるの、苦手?」
「え・・・」
座ったまま、セフィリオはオミの身体を抱きしめる。
またいつもと違う・・・セフィリオの頭がオミの腰にあるから。
「ちょっと、濡れ・・・」
「濡れてもいいよ。良いよね?もっと・・・甘えさせて?」
濡れた体を押し付けられて白い夜着に水が染みていく。
「・・・仕方ないですね」
オミは苦笑しながらも、セフィリオの頭を抱き込んだ。
考えてみれば、初めから。
セフィリオはオミに甘えっぱなしだ。
好き勝手な事を言って、自分の都合で振り回して。
そしてオミも。
セフィリオだけには甘える事が出来た。
泣き言を言えるのも、目の前の相手だけだから・・・。
「・・・いいですよ。洗ってあげますから、ちょっとだけ放して下さい」
笑いを含んだオミの声に、セフィリオも笑いながら、押し付けていた顔を上げた。
-----***-----
髪を洗っている時に思った。
適当に扱っているとばかり思っていたセフィリオの濃紺の髪は、指にとても滑らかで。
ざっと湯をかけて、泡を流す。
ぽたぽたと雫を零す濡れた髪を肌に張り付かせて、セフィリオが目線を上げ・・・・。
「・・・///」
「・・・オミ?」
正面から見てしまったオミは、思わず目を逸らしてしまった。
このまま見つめていたら、身体の奥に火がついてしまうのは明確で・・・・。
「どうかした?」
じっとなんて見ていられない。
不思議な色気があるのは知っていたけれど、今のセフィリオを直視できなかった。
オミに視線を逸らされても、機嫌を悪くすることもなくセフィリオは笑う。
「・・・・惚れ直したの?」
「バッ・・!!し、知りません!!」
頬が染まっていて丸分かりだけれど、オミは強がって見せるから。
オミはオミで色々と恥かしくて、素直になんて言える訳がない。
「か、身体洗いますから動かないで」
泡立てた布を手に、オミは話を逸らす。
視線を合わせないように、後ろへと回ろうとした。
けれどそのまま、また正面から抱きしめられてしまう。
「っちょ、セフィリオ。離さないと洗えな・・」
「このまま。出来るよ、ほら・・・」
正面から背中に手を回されて。
「服・・・濡れるんですけど」
「気にしない気にしない」
離してくれる気配はまるでない。
仕方なく、オミはそのまま手を動かした。
「・・っと」
不自然な体勢で背中を洗っているので、中々力が入らない。
身体を洗う事に集中していたオミは、後ろでセフィリオが何をしているか気付くことが出来ずにいた。
「ん、と良し。セフィリオ、背中洗ったから離・・・」
オミが全てを言い切る前に、上からざばぁと湯を掛けられる。
髪から身体から、もうびしょびしょだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・〜〜セフィリオっ!!」
「何?もうそれだけ濡れてるなら、一緒に入らなきゃ風邪引くよ?」
「・・・・最初から、このつもりでっ?!」
「ほら、脱がないと。肌に張り付いて気持ち悪くない?それにしても・・・」
濡れた白い夜着を張り付かせているオミは、なまじ何も身に付けていない時よりも色っぽくて煽られる。
健康的に日焼けした・・・けれど薄い色素の肌に、色付いた胸の飾り。
上気した頬を流れる水滴と、少し潤んだ瞳で睨んでくるものだから、余計に性質が悪い。
先程オミを煽ったのはセフィリオ自身が意識していたのだけれど、オミは無意識なのだ。
その無防備さに、またそそられる。
「オミ」
「もう、次は何ですか?!」
「・・・したい」
「は・・・?」
「しよう。ね?・・・オミを抱きたい」
「っちょ、わ、馬鹿、セフィリオ待っ・・んんぅ・・・!」
抵抗や拒否を受け付けない強引さで、唇を重ねられる。
今まで気にならなかったのに、今の声はやけに風呂場に響いた気がした。
座ったままのセフィリオに捕まれて抱きしめられ、深さと角度を変えながらの深いキス。
もういい加減慣れたと思っていても、やはりいつものように限界を感じるのはオミが先だ。
口腔を弄られて舌を痛い程に吸われて・・・・。
「・・ふっ、ぅ・・・ん」
膝を付いて支えていたオミの体は小さく震え始めていた。
腰から力が抜けそうで、膝立ちしている今の状態でも辛い。
離れようと突っ張っていた腕は、何時の間にか支えを求めて縋り付いていて。
「オミ・・・、可愛い・・・」
オミの唇から離れて、今度は額や瞼、頬へと滑っていく。
「っん!」
中々整わない荒い呼吸を繰り返していたオミの身体が、不自然に跳ねた。
「相変わらず・・・刺激に弱いね」
だから心配だと嬉しそうに言いながらも、セフィリオは濡れた夜着の上からオミの肌を撫で上げている。
それにまた反応してしまうオミの身体。
「っも!こ・・なトコでっ・・・、これ以上は・・・っ///」
「オミもほら。手が止まってるよ?」
今更だが、泡を立てた布で身体を洗っている途中だった。
布を握り締めている手の指先が、快楽に耐えようと力んでしまって白くなっている。
「洗ってくれるんだよね・・・?」
力の入り過ぎた手をそっと取って、自分の身体に当てる。
「も・・・っ、最悪・・・!」
オミが嫌だと言えないことを分かっていながら、セフィリオはあえて言うのだ。
睨みつけるようなオミの瞳に少し涙が浮かんで、滲む。
潤んだ目で睨まれるが、その視線がまた堪らない。
キツい光を宿すオミの瞳は、セフィリオにとって何よりの媚薬だから。
「ハイハイ泣かない。苛めてる訳じゃないんだけどね・・・」
反応がイチイチ可愛いから、つい・・・。
素直で可愛いオミもいいが、やはりこうでなくては。
嬉しそうに笑ったセフィリオは宥めるようにもう一度キスをして、愛撫を再開した。
「ぁ、や・・・っ!」
先程のキスの合間に、下肢は全て脱がされていたらしい。
上半身は少し肌を出した程度で、綺麗に脱がされなかった夜着が肌に纏わりついて鬱陶しかった。
「な、んで・・・?」
全部脱がさないのかと言うように、濡れて肌に張り付く夜着を見る。
「・・・こっちの方が色っぽいからね色々と」
「・・は、・・・っん、ば・・か・・・ぁっ///!」
「お喋りは終わりだよ。・・・もっと気持ちよくなろう・・・?」
会話をも許さないというような愛撫に、オミはかすかな抵抗さえ奪われてしまう。
唇から零れ落ちるのは意味をなさない喘ぎばかりで。
「っん・・!」
「口、押さえるものダメ。・・・聞かせてよ」
オミの感じてる声・・・。
首筋の柔らかい肌を舌と唇でなぞるように舐められて、仰け反った所を更に歯で噛まれる。
痛みと痺れるような刺激に、思わず出してしまいそうになった声を、何とか指を噛んで凌いだのだが。
セフィリオはそれをも許さず、オミの手を脱がせたズボンで後ろ手に縛り上げてしまった。
「っちょ、外し・・・っぁ!」
往生際も悪く尚暴れようとするオミ自身を、セフィリオはその手の平で包んだ。
濡れて冷えていた体に感じる、ジンと熱い手の平。
「・・・気持ち良いみたいだね」
手を動かす度に、小さいながらも反応を返すオミの身体。
震える膝で立ったままセフィリオの愛撫を受けるオミは、支える腕がない今いつ倒れてもおかしくなかった。
「辛かったら、そっちの壁際に行く?」
見かねてそう言うと、オミは不満という目つきで睨みながらも、小さく頷いた。
床に押し倒してもいいのだが、下が冷たく固いタイル面である以上、オミの背中を痛めるのがオチだ。
壁際に立たされて押し付けられ、その冷たさにオミはビクリと震える。
「・・・すぐ熱くなるよ」
そう言って壁に押さえつけるように重なってきたセフィリオの身体は、とても熱くて・・・・。
肌を余す所なく甘く噛まれ、少し痛みと強烈な刺激に耐えながらも、オミは何とか立っていた。
「・・・ふっ・・んぅ・・・―――っ!」
清涼感のある匂いが漂ったと思うと、突然後ろに異物を感じた。
「たまには、こういうのもいいよね?」
ぬるりとした感触と友に入り込んできたのは、セフィリオの指だろう。
それも、一本ではない。
「っあ、や・・っ!ん―・・・く・・・・っ・・ぅ」
不思議と、痛みを感じない。
先程の清潔感のある匂いは恐らく石鹸の匂いで、ぬるりとした感触もその泡のせいだろう。
全身を融かされてしまったオミの身体は、セフィリオの指を歓喜して受け入れていく。
「凄いね・・・。オミも欲しかったんだ?」
瞳から零れる涙を拭うように、頬と首筋にキスを落として、セフィリオが笑う。
1つでも文句を言ってやりたくて睨んだ先には、自分を見つめてとても嬉しそうに笑う表情とかち合った。
「・・・っ///」
流石に文句も言えず、オミは少し目を逸らす。
そう言えば、セフィリオが動けなくなってから暫くの間、お互いの素肌には中々触れていなかった。
一緒に眠ったり話をしたりと、ずっと傍に居たのにも関わらず。
「・・・・もう」
「ん?」
「///ぃ・・いから・・・っ!」
来て・・・・。
小さく呟いた声は、異様なほど浴室では響いた。
反響して大きくなった声に、オミは真っ赤になるが、セフィリオはまた嬉しそうに笑って・・・。
「ッあ・・!ぁあ・・っく、・・ぅ・・・んん!」
片足を大きく持ち上げられたかと思うと同時に、セフィリオ自身が入り込んできた。
抱かれなれた身体は、待ち焦がれたセフィリオ自身を嬉しげに締め付ける。
「・・っき、つ・・・!喜んでくれるのは嬉しいけどね、オミ」
もう少し、力抜いて・・・?
そう言われても、立ったままの行為に身体が言う事をきかないのだ。
もう片方の足を突っ張って支えようとしても、体重がソコにかかってしまうから。
「んんっ、はッ、あ・・・、ぅぁ、あ!」
力んでしまったオミの身体を宥めようと、ふるふると震える前に手を伸ばして触れた。
その刺激だけでも、オミはびくっと身体を竦ませ、呼気を荒くする。
「ぁ・・ねぇッ!手・・っ、解い・・・・!」
「あぁ、そうだったね。ゴメン」
くすりと笑って、後ろでに縛ったオミの手を解いてやると、そのまま動きを開始した。
最初はゆっくり・・・、けれどオミが声を甘く変えてからは、容赦のないスピードで追い上げる。
オミは声を殺す余裕もなく、セフィリオの首に手を回して、与えられる強烈な快感に身を震わせた。
「あぁッ!ん、も・・っダメ・・!セ、フィ・・リ・・・オ・・・っ」
懇願するようなオミの声を耳元に聞いて、くすりと笑ったセフィリオはオミのもう片方の足をも持ち上げた。
「ぅぁ、あッ!!」
一気に体重がソコへかかり、深く奥を抉られる。
息を詰めたオミが小さく痙攣して吐精したのを追うように、セフィリオもその締め付けを味わった後、中で弾けさせた。
-----***-----
「・・・ぁ、れ・・?」
「気が付いた・・・?のぼせたかと思って心配したんだけど・・・」
大丈夫みたいだね。
そう言われて、ココが何処だか確認する。
見渡してみれば、見慣れた自分の部屋のベッドの上で。
「湯当たりじゃなくて、俺にのぼせた?」
「ばっ・・・!///」
その通りだけれど、やっぱりなんだか恥かしい。
シーツを上に引き上げて、オミはちらりとセフィリオを見上げる。
下は何とか穿いているようだが、上はまだ素肌のままだ。
そしてオミ自身は何も身に付けていないままで。
「・・・オミ?」
掛けられた声に、腹部にうっすらと見える、縫い合わせたような痕に手を伸ばして触れた。
「もう、痛みませんか・・・?」
「・・・うん、もう・・・ね。平気」
小さく返事を返したセフィリオは、何故かくすくすと笑う。
「・・・?」
「まだ、気付かない?」
ベッドの縁に座っていた身体を立ち上がらせて、オミに笑いかける。
今日の夜まで、ついさっきまで、セフィリオは何でベッドに寝ていたのか・・・。
「・・・―――あ!」
オミは驚いてベッドに上半身を起こした。
立てない、歩けない・・・。
そう言うから、ずっと今まで看病していたのに何故。
先程風呂場へ行く時は横から支えないと立っていられなかったセフィリオなのに。
風呂場ではあんな、立ったまま持ち上げられて抱かれたし、ここまでオミを運んだのもセフィリオ以外に居ない。
「あ、歩けるじゃないですか・・・?!」
「うーん、もうちょっと騙して置くべきだったか」
惜しい事をしたと言うように指を鳴らすセフィリオに、オミは一応本気で枕を投げつけた。
軽くかわされてしまって、ますます虫の居所は悪いまま治まらない。
「怒らない怒らない。嬉しかったんだ」
「何がですか人を騙しておいて!」
「だって、オミ。真剣に俺のことを見てくれるからね。・・・甘え放題だったし」
抱けないのは、辛かったけど。
そういって、暴れるオミの手を簡単に掴み、もう一度ベッドへと押し付けた。
「なっ、離し・・っんん!」
両手首をシーツに縫い止められて上から被さられては、流石のオミも抵抗は出来ない。
そして、そのキスも・・・・抵抗が出来るほど易しいものではなくて・・・。
一気に陥落されるような深く甘いキスに、唇を離されても一時オミはぼぅっとセフィリオを見上げたまま動けなかった。
余韻に浸るオミの瞳の上や頬にキスを落としながら、セフィリオが笑って。
「騙してるのは悪いなって思ったよ。でもね、嬉しかったから・・・」
真剣に自分を介抱しようとしてくれる、オミの真っ直ぐな気持ちが。
まだ生乾きのオミの髪に指を絡めて、そっと撫でる。
「・・・・だったら、甘えたら良いじゃないですか」
頭を撫でられる感触に、オミが微笑んだ。
「・・・怒ってたんじゃないの?」
「そりゃあ怒ります。でも、わざわざこんな事しなくても、甘えて下さい」
髪を絡めていた手を取り、きゅっと握る。
「甘やかすのは慣れていませんけど・・・」
そんなに、悪い気もしないから。
そういって笑ったオミの表情は、ひどく嬉しげで。
「・・・そう。うん、これからはそうする・・・」
くすくすと笑いながら、セフィリオは起こしていた上体をもう一度屈める。
重なった影は、空が白み始めても離れなかった。
-----***-----
「所でオミ。何でいつもこんな遅くか早朝に入るの?」
いい加減家に帰れと言われても居座るセフィリオと、またも深夜の入浴タイムだ。
今度は浴槽の中で離れて座っている。
近寄ると何されるかわからないからだ。
「・・・それ、あなたが言うんですか?」
「・・・やっぱり?」
オミの全身には、コレでもかと言うほどの痕が残っていて。
こんな素肌を誰にも見せる訳にはいかない。
だから、オミは不本意ながらも仕方なく・・・・人気のない早朝と深夜に入るしかないのだ。
「って、聞かなくても。元々そのつもりで痕、つけるんでしょう?」
「・・・わかってたのか」
「セフィリオは独占欲、強いから」
くすくすと笑うオミの顔面を狙って、セフィリオは思いっきりお湯をぶっ掛けた。
「うわっ!っちょ、お湯が口入っ・・!」
顔を拭っている間に近づいてきたセフィリオに捕まってしまう。
「・・・分かってるよね?言わなくても、何したいかってさ」
「・・・・あーもー・・・///」
甘えても良いと言った以上、オミには断れなくて。
苦笑して、それでも許すようにキスを1つ送った。
甘えられて少し嬉しいと感じてしまうのも、やっぱり相手がセフィリオだから。
好きな相手の我が侭は、それ自体が愛のカタチ。
END
⊂謝⊃
Form of love :タイトル訳『愛のカタチ』
秤w弁かよッ!(汗)
・・・と自分に突っ込みたかったんです。ゴメンナサイ・・・。(平伏)
ずっとずーっと先送りになっていました砂成様からのリクエストです!
ホントに昔・・・えっと、----(ログ確認中)----9月19日デスね・・・・(汗)
そして今回、キリ番77777HITを踏まれたとのお言葉に、慌てて取り掛かる斎藤千夏。(笑)
「セフィリオがオミに甘え倒す(裏)」です!
そして絵板での宣言通り、ミューズ編の後半に食い込んでますねッ★(笑)
さらに感想メールでの『お風呂のナゾ』にもちょっぴり触れてみたり(笑)
いやぁ、やっぱり風呂ネタ最高ですよぉ!!!(萌)
・・・ちょっと甘え押しているのかが微妙ですが、糖度はばっちりかと思います。(笑)
77777のオールセブンフィーバー★をありがとう&おめでとうございましたv
どうぞどうぞ砂成様、お受け取り下さいませ〜v
斎藤千夏 2003/11/24 up!