*Trip weather*
3
「あんな子供をからかうなよ」
「いいじゃない?あの子にするっていうんじゃないし?」
「語尾をあげるな語尾を。・・・というか、オミを相手にって言う方に無理がないか?」
ビクトールはセフィリオの気持ちをよ――――――――く知っている。
が、彼にはなんとなく生理的にそう言う風には考えられないらしい。
「え。僕は今一番オミに相手してもらいたいけど。邪魔さえなければ」
出ていけと訴えるセフィリオだが、にやにやとビクトールは扉を背にして立っている。
出ていく気は全くない顔で、勝手知ったる方法を命令してきた。
「俺が見とくからさっさとやれよ。一番面倒臭いやり方でな」
「・・・・その様子じゃルックのやり方知ってるって顔だね」
「あいつもその方法だぜ?一番後腐れなくて楽な方法だって言ってたがな」
ルックなら確かにそう言うだろうとセフィリオも思ってはいたが。
「・・・人それぞれだよこんなの。どれが面倒臭いかなんて」
「あっ、お前、セフィリオ・・・ッ!?」
ビクトールが止める前に、セフィリオはオミの右手を自分の右手と組んで、唇を重ねた。
ゆっくりと『気』を流し込むと、オミは無意識にか空いている左手でセフィリオの服にしがみ付いてくる。
薄く光っていたソウルイーターも、オミの右手の輝く盾の紋章と共鳴して光を増してきた。
「人に見られても平気なヤツって居るよな・・・」
見てるこっちが恥ずかしいと、ビクトールは2人に背を向ける。
薄暗い部屋の中で、仄かな紋章の光が消えるまで後ろを向いておこうと思ったビクトールだが・・・。
5分・・・・・。
10分・・・・・・・・・・。
15分経った頃とうとう疲れて振りかえる。
が、まだ重なり合っている2人の姿が目に映って一瞬本気で部屋を出ていきたくなった。
だがここで出ていったらセフィリオの思うつぼだ。
それだけは阻止すべく、嫌々ながらも口を開く。
「・・・・・苦しくないのかお前ら」
目を閉じて没頭していたセフィリオが、薄く目を開けてオミから唇を離す。
少々目に宿る光がヤバ気だが、比較的普通の声で返してきた。
「・・・・・ずっと見てた訳?悪趣味」
「お前に言われたかないね!どーしてオミなんだよ・・・」
「うん?気に入ったから」
「・・・・男だぞ?」
「分かってるよそれくらい。まぁカンケーないかなそんなこと」
「お前なァ・・・。ま、熱も下がった。明日には・・目ェ覚ますだろ」
ほっとくと危ないセフィリオの膝からオミを抱き上げて、ベッドに寝かせる。
「あぁ勿体ないな。せっかくの据え膳が」
「いいから下行くぞ!オミと2人っきりにしたら明日の出発がどうなるか分かったもんじゃねえ」
「信用ないなぁ」
「当たり前だ。明日起きたらお前、まず絶対恨まれるぞ」
「なんで?」
ビクトールは無言でオミの首筋を指した。
赤く鬱血した個所は、先ほどセフィリオがたどったキスの軌跡と一致する。
しかも微妙にいつもオミが巻いている黄色い肩布から見えるか見えないかの位置だ。
「・・・・・・・・・出来心だって」
「明日が楽しみだな」
-----***-----
「・・・・・おはよう」
「オミ!元気になったの?!良かった〜v」
「おはようナナミ。もう大丈夫だから・・・」
階段から降りてきたオミに、勢い良く抱きつくナナミ。
オミはよしよしとナナミの背を叩いて、頷く。
「倒れたって聞いたから心配したんだぞ。あ、フリードは市庁舎に行ってる。後で俺たちも行くか?」
声をかけてきたのはフリックだ。
昨日の晩、ナナミと一緒に到着していたらしい。
「『気』は十分補えたみたいだな。相性が良かったってことか」
フリックも、ビクトールも、ルックを手伝ってオミに『気』を与えた事があるが、その時と比べて異様に回復が早い。
「そうそう!今回は回復早かったね!さすがセフィリオさんの『気』!」
「・・・・・『気』を分けてくれたの、あの人なの?」
オミの眉がピクリと動く。
「うん?覚えてないの?お膝に抱っこされて」
抱き着いていたナナミと離れて、オミは尋ねる。
無意識にか右の首筋に触れた。
「・・・・どんな・・・方法って言ってた?」
「う〜ん、口移しとか・・・あ!ボウジュツって言ってた!それってどうゆっ・・!」
慌ててフリックに止められる。
「もーなによフリックさん〜!」
「いや、あのな。そんなことを大声で・・・・」
一応宿屋の下、泊り客が朝食を食べている時間である。
大抵の大人達が思いっきり口に入れたものを吹いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?お姉ちゃん変なこといった?」
全然分かってないナナミは、周りの大人達の注目を浴びている事に気付いて、首をかしげる。
「・・・あの人、どこ?」
「身体動かすって、外に居るぜ」
答えたのは、危うく喉に物をつまらせかけたビクトールだ。
「・・・ありがとう。じゃ、ちょっと待ってて」
嫌になるくらいの笑顔のオミ。
「オミ?ホントに大丈夫?」
「うん。僕もちょっと身体動かしてくるから」
と、トンファーを抱えて出ていってしまう。
この騒ぎはなんなのかという周りの人々も、ナナミたちも静かにその背後を見守った。
・・・・・・・・・・・・・しばらく静まった後。
ドガァッ!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・そしてまた静寂。
その後、言い争いが聞こえ始める。
「ちゃんと『気』をあげたんだからいいじゃない?」
「よくない!なんてことしてくれたんですか!!」
「えー?してないよ?」
「だってっ!」
「歩けるでしょ?そんなのしてたら君、今日1日はベッドの住人だし?」
「・・・・そう、未遂で、こんなモンつけてくれたんですね?」
「まぁね。邪魔が入らなきゃやってたんだけどなー。惜しかったね?」
「・・・・・一度死にます?」
「やめとく。この世に未練タラタラだから僕。で、オミ」
「はい?」
「キスの時、甘え方上手くなったねv」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱ死んでください」
「遠慮しますv」
・・・・・・そして店内へ。
「何があったんだビクトール?ルックがやってた方法じゃないのか?」
「・・・聞かないでくれ。あの空間に居るのはかなり辛かった。じゃ、トラン目指して出発するか」
「・・・・・・・逃げたな」
本日も空は真っ青で、絶好の旅日和である。
「逃げるなッ!」
「捕まえて見れば?」
こんな声がサウスウィンドゥの街にこだまする、ある1日の出来事。
END
⊂謝⊃
何すか『気』って。(爆)ありえない設定作りまくっちゃいましたね〜。
この設定はセフィオミの時だけ通用するってコトでヨロシク★もしかしたらユエリアにも採用するかも・・・(オイ)
ってな訳で、セフィリオ×オミ第2弾です。
やっぱり進みが違う。(色んな意味の/何笑)ユエ×リアの時のページと比べて何ですかこの差は。(笑)
そしてセフィリオの性格がどんどん変わっていってますねー。
次書くとしたら多分グレッグミンスター到着時あたりですか。
あーグレミオさん出てきますねー。生き返ったグレミオ。
・・・・・・よく生き返れたもんだ。(笑)
あ、あとボウジュツ。知らないからって周りのオトナに聞かないでね?(恥)
たんに、男女間でやる性魔術。大元は真言立川流つまりは○ッチ(大笑)←モロバレ?
あぁこんな事表で書いてイイのかしら(ソワソワ)
では、次に合えるのをお楽しみに〜♪
ふぅ、もう次は消去しないぞ★(笑)←この話、1回キレイに消えましたv
よかったぁ印刷してて〜〜(滝涙)
Saitou Chinatsu* 2002/10/21 up!