*With a smile*
3
「・・・・リアは」
静かな声に、リアは目に伏せていた手をどける。
あまり口を聞かなユエの声に、リアは耳を傾けた。
「リアは・・・もし・・間違っていると・・・誰かに言われて・・・」
リアの胸に流れる血を、巻いてあった布でふき取ってやりながら。
「信じた道を・・・否定されたら・・・、やめるの?」
「・・・え・・・・?」
辛い選択をしてきた。
親友との仲を裂いてまで、歩いてきた道。
それを・・・誰かに否定されたからと言って・・・・。
「・・・・・・この足は止められません」
強い声で・・・言えた。
その返答を聞いて、ユエは静かに微笑む。
「・・・///・・ッ!」
感情を表に出さないユエは、めったに笑わない。
ひらすら無表情で、かすかに目にこもる意思を読み取るのがせいぜいだ。
けれど、今は・・・。
「笑った・・・マクドールさん」
本心から、微笑んでくれた。
「じゃあもう・・・迷いはないね」
迷いはないかと言われて、即答はしかねた。
けれど、誰かに言われてやってきた道じゃない。
自分で選んだ道だ。
だから・・・・・。
「はい、歩いていけます」
と、今度はリアも微笑む。
もう一度リアの頭を軽く撫で、ユエはリアをソファーに寝かて部屋を後にした。
悩みなどなくなってしまったせいか、今まで麻痺していた痛みが次第に酷くなって襲ってくる。
「ちょっと・・・酷かったみたい・・・」
無理をして歩いたせいでもあるだろう。
何故だかリアはユエを相手にするといつでも笑っていようとするのだ。
それでもユエはそのリアの状態を読み取って、無理をしなくていいと言う。
直接言葉で言うのではなくて、その態度で示すのだ。
強がらなくていい。甘えてくれていい・・・と。
「・・・・リア・・・?」
戻ってきたユエが見たリアは、ソファーに身を沈めたまま・・・・静かに目を閉じている姿だった。
近づいても起きる気配はない。
ユエも彼らしくなく、感情のこもった眼差しでリアを見つめる。
「お休み・・・リア」
もう聞こえてはいないだろうけれど。
「リア―――!!!お帰り!どうしたのよいきなりマクドールさん迎えに行くなんて!!」
お姉ちゃん心配したわとリアに抱きついてわめくナナミ。
「あはは、ごめんねナナミ。ただいま」
抱きつかれて痛みもあるだろうに、リアの振る舞いは到底怪我をした者の動きではない。
当然、この場に居てリアの怪我を知るものはユエとリア本人だけだ。
「ナナミ」
「え・・?は、はい!こんにちわマクドールさん!!」
ナナミは驚いてリアから離れて頭を下げる。
ユエが誰かの名前を呼ぶなんてことは、非常に稀でめずらしいことだ。
リアの名前だけを連発するのは、本人もリアも気付いていないが。
「あ、疲れてるよね。戦争した後トランに行っちゃったもんね。ごめんね気付かなくて」
もう一度弟リアの無事を確かめるようにぎゅっと抱きしめて、ナナミは食堂へ走っていった。
・・・・・・・・走り去ったナナミの顔が真っ赤だったというのは、後で聞いた話だが。
「あ、じゃ、僕の部屋・・・行きましょうか?」
リアの服は血の染みが落ちず、短刀で切られたままだったので、今はユエの服を借りて着ている。
いつも赤いイメージのリアが、突然白い長袖の長衣を着て帰ってきたのは、同盟軍にして皆驚きに包まれた。
なんというか・・・・・・大変好評だったようで。
この日以降、リアのクローゼットの中は、赤い胴着以外の服は全て白で統一されたとかされなかったとか。
「リア」
「はい?なんですかマクドールさん」
太陽のような笑顔だと思う。
眩し過ぎて・・・・思わず目を細めてしまうほどに。
「・・・・大丈夫、だな?」
一瞬なんのことを言われたのか分かっていなかったようだが、理解して、再び微笑む。
「えぇ、もう。大丈夫です」
しっかりした足取りで歩くリア。
「またお手数かけますけど・・・・頼ってしまうのはいけない事だと分かってますけど・・・」
ユエの方を振り返って、言う。
「また、助けてもらえますか・・・・?」
戦時中において、どこか和やかな雰囲気を保つこの城。
自分の時と明らかに違う空気。
強い・・・・・リア。
「僕で・・・力になれるなら・・・」
できる限り手を貸そうと思う。
この、『笑顔』を壊したくないから・・・・。
END
*謝*
初書き幻想水滸伝しかも坊主!
ごめんなさーい・・・。でもこの2人好きなんですよぉ!
人様のサイトをハシゴしてる時に掛にきゃーきゃー言ってたら、
「書かないの?自分でさ」
とあっさり言われてしまい、書くこと決意!
で、その頃まだ何気に忙しかったから、ケータイメールでカチカチと・・・。
通学時結構書けます。(オイ)ヒマならば授業中とか・・・・(殴)
これはそのままPCにメールおくってhtmlに直しただけ・・なしろもんです。
でも1つ嘆くとすれば、周りに坊主がいないのよ〜!!!!
こんなオレでもお友達になってくれる方ボシュウ中★(居ないって/失笑)
Saitou Chinatsu* 2002/10/7 up!