A*H
Bambino di ciao!
BANBI-NO DHI CHAO!

ジャンル:復活/リボーン×綱吉
発刊:2009年03月22日
仕様:FCB5オフ
頁数:36P
価格:¥500
あさと様との漫画+小説合同誌。
リボツナリボツナうるさい俺にお付き合いくださいました。(笑)
あさとさま漫画、斎藤小説のいつものパターンです。お話は繋がってません(笑)
漫画の方は、10年後なリボーンとツナと赤ん坊なリボーン。(どんな説明だ)
小説の方は、これまたぶっとんだパラレルでリボツナラブラブです。(笑)
これの出会い編から書きたいんだよ・・・!頑張るよ・・・!
とりあえず、漫画・小説共にほんわりできると思います。(笑)
▼以下おためし (文)
基本的に、暴力は嫌いだった。
勉強でも運動でも、人と争ってまで順位を上げようとは思わなかったし、何よりやったとして良い成績が残るわけでもなかった。
諦めるのは努力するより簡単で、幾ら母親から『あなたのためよ』と言われても、自分のことなら余計にやる気など起きないものだ。
やりたいことはするけど、やりたくないことはしない。
人間誰しも、自分には甘いもんだと思う。
「お前は他人にも甘過ぎだぞダメツナ」
「えぇ?そうかなぁ」
背後には、俺の身長(これでも日本人成人男性の平均身長よりは上なんだぞ!)を軽々越して見下ろしてくる美丈夫に、振り返ってへらりと抜けた笑顔を返す。
「そうだとも。襲撃してきた相手に手加減なんぞ、誰がする」
はぁ、と深い溜息を吐かれても、それはそれ。
「だって、誰だって痛いの、可愛そうだろ」
「そんなお前を守る俺の身にもなってみやがれ・・・」
耳元で、銃弾が風を切る音がする。やる気のない俺の腰を捕まえたまま、軽々避けては反撃をばっちり決めるリボーンの顔が上にある。
銃撃は鳴り止まない。けれど、俺には傷一つ付かない。
「っち・・・!」
ギリギリを掠った弾はリボーンの頬を裂いて、白い肌に映える赤を流した。
「あ、こら!油断するから」
「誰のせいだと思ってんだ?」
だらりと下げたままの手を伸ばして、高い位置にある首にしがみ付く。
だって、戦うことは嫌いなんだ。戦って、誰かを傷つけるくらいなら、自分が傷付いた方が良い。争うことも、嫌いなんだ。誰かを蹴落として頂点に上ったとして、それがなんだというの。
だけど。
ボボ・・・ッと、リボーンの肩越しに、勢いを増した炎が両手から噴出す。
「俺だって、ただ守られてるだけじゃないよ」
流れる赤を唇で拭って、視線を絡ませる。
「俺だって家族を傷つけるなら、許さない」
途端、やる気のない青年から威厳を増したボスの顔に切り替えて、笑みを浮かべる。
「さて、数が多いな。手っ取り早く一気に行く。後で返してやるから・・・お前の時間を貸してくれ」
銃を構えたままの隙のない体勢で、囲いを狭めてくる下っ端共を牽制しつつ、一瞬驚いたような顔をして見せたセンセイは、俺以上に不適な笑みを浮かべて、もう一度、溜息。
「ったく、性質悪く育ちやがって」
「こんな俺に育てたのはお前だろう。・・・リボーン。早く」
「オネダリだけは上手くなった。ま、いいだろ」
返事を貰えた俺は、そのままリボーンの肩を借りて、囲われた空へと高く飛び上がった。学生時代の俺が今の俺を見たら、どんな顔して驚くのかちょっと気になるなぁなんてどうでも良いことを考えながら、飛び上がった空の上から下を見下ろした。
「思う存分やってこい、ツナ」
ドン!
響く重い発砲音は、真下に居たリボーンの銃から放たれた力の本流。まともに食らえば建物は崩壊するし山に穴が開く。
そんな物騒なモノの的は敵対勢力の下っ端共じゃない。迫り来るエネルギーの塊は、真っ直ぐ上空の俺に向かってくる。
普通なら、仲間割れとでも思うだろうか。いや、俺に限ってそれはない。
「死ぬ気の零地点突破・改」
昔はこれを自ら受けきれず、毎度毎度打ち抜かれていたものだった。『アルコバレーノ』に『炎』で打ち抜かれたら普通死ぬ。けれど、どうやら俺は普通じゃないらしい。
じわりと、それからは怒涛の勢いで流れ込んでくるリボーンの炎。苦しくないとは言わない。昔に比べて苦痛は減ったけれど、身体の中を荒れ狂う他人の力は、馴染むまで一苦労だ。
けれど、それも慣れた。溢れ出す力をその身に受けて、受け入れて、俺は再び地上へと下降し、地面に右手を突き立てる。
「悪いな。・・・お前たちに恨みはないが」
俺は、俺のために拳を振るおうとは思わない。けれど、俺のために力を振るう仲間に刃を向けるなら、話は別だ。
「相手が悪かった。・・・お前たちのボスに、宜しく伝えてくれ」
今度は、左手を地面へと向けて、身体の力を一気に注ぎ込む。バキリと、足元の地面が音を立てて割れ、その並は俺を中心に構えていた黒服の男たちを飲み込みながら足場を崩していく。急激に下がった温度のそれに熱源を叩き込めば、大抵のものは温度差に耐え切れずに脆くなるものだ。踏み固められた地面の土だって、それは同じこと。
「また無駄にぶっ放しやがって。これなら俺がやった方が効率良いぞ」
「駄目だ。お前がやったら人が死ぬ」
割れて崩れて盛り上がった地面に飲み込まれた連中は、果たして生きているのかどうか判らないが。
「・・・それでも、お前が無事なら俺はどうでもいいんだぞ」
ツナ、と呼ばれて炎を収めた腕を差し出す。俺より高かった視線は、今では腰にも届かずに俺を真っ直ぐ見上げてくる。
ぶかぶかのスーツに身を埋めたまま、抱き上げた俺の腕に満足そうに収まったのは、紛れも無くリボーンだ。
「お疲れさんだぞ、ツナ」
俺の額に灯る炎を眩しそうに見つめて、消火しようと顔を近づけたその時、パン!と銃声が鳴り響く。
「・・・ぐっ・・!」
硝煙を上げたのは、俺の肩越しに銃を放った子供の手の中。
「油断、大敵だな」
どうやら土の中から這い出してきたらしい。ここで退くなら見逃してやろうと思っていたのに。仕方なく、片手のみもう一度炎を灯して、何やら叫んでいるらしい罵倒を聞き流しながら、俺の炎を同調して広範囲で地面を舐めた炎と共にとどめの一撃を、放つ。
「Addio.」
銃声は止み、野太い悲鳴と地面が割れる地響きを轟かせて、夕暮れの中でイタリアの地形は少しだけ形を変えた。
***
(略)
***
『アルコバレーノ』
マフィアに伝わる伝説の、現在は世界に五人しか居ないと言われている生命体。それぞれ属する力を秘めた色の炎を扱える。イタリア語で虹の意味を持つその名で呼ばれる存在を知ったのは、リボーンと出逢ったあの頃が最初。
リボーン以外に後六人いるらしい。遠い昔、イタリアで七人、同時期に発見されたのが最初であったことと、それぞれが属する力の色が虹の七色であったため、『虹』を冠するアルコバレーノと名づけられたらしい。結構命名の理由は単純だった。それを言ったら殴られたけれども。
身体能力と知能は桁はずれ。見た目は人間と変わりないが、保有する力は人間ではありえない。それぞれ特殊な武器を持ち、その身に宿る力を使って戦えば敵ナシな程に強いが、蓄えられたエネルギーを使用すると徐々に子供に戻っていく。もちろんそんなの信じられた話じゃなかった。バカ言うなよって鼻で笑った。また殴られて今度は机に突っ伏した。
この怪力も普通の五歳児にはありえないとわかっていたけれど、まさかそんなことを言われてもどう見たってリボーンは人間だった。
その後出逢った他のアルコバレーノたちも、確かに見た目はこぞって人間離れして綺麗でかっこよくて可愛いくて、知識も身体能力も桁外れだったけれども、俺からすれば人間との違いが全く持ってわからなかったのだ。
何もかもダメダメだった俺は、それなりに出来る人間に対しても「すっげー」だったので、そんな彼らも「すっげー」で終わらせてしまった。自分でも思う。バカだったのだ。
けれど、まぁ。
普通人間は突然育ったり、縮んだりはしないだろう。
それをリボーンは実際に俺の目の前でやってくれたのである。
アルコバレーノが一体どういった生き物で、何時から存在するのか。それはリボーンたちにもよくわからないらしい。けれど、七色のうち欠けてしまった色がある以上、彼らが不滅の存在というわけでもなかった。強大な力は、彼らの生きてきた『時間』を使って放たれていたものなのだから。
止まることのない時の流れというものは、逆に言えば止めることも捲き戻すことも、早送りだって出来るものでもないのだ。しかし、時間と言うあやふやなものを、彼らはエネルギーとして身体に溜め込んで成長する。そして成長した分の『時間』を使って、他の誰にもなしえない力を振るうことが出来る。人には扱えない、それは力だった。
そんな彼らの力は確かに強大で、『アルコバレーノ』とは裏の人間たちには喉から手が出るほど欲しがられている存在だと知った。
けれど、力を持っているアルコバレーノを良いように扱う力が、マフィアとはいえ普通の人間にあるわけがない。
そこで目を付けられたのが、アルコバレーノが唯一執着する血筋・・・ボンゴレの血を引いたひ弱な子供であったというわけだ。
その時の話は割愛するとして、俺のミスであわやリボーンはこの世から消滅する手前にまで陥ったことがある。ボンゴレの血筋・・・つまりは俺の身体にも流れている血なのだけれども、普通の人間のようで、どちらかといえばアルコバレーノにとても近い力を持った子供が生まれることがあるらしい。
まさに、それが俺だったわけで。
通常、使ってしまった時間は同じ時を過ごして再び溜め込まなければ力は使えない。それを反則的にコントロール出来てしまう物質を生み出せるのが、何故だかどうしてボンゴレの、それも特殊な血を継いだ者だけだということだ。
それは血の継承者の炎の色を映して煌く希少な宝石となって存在する。
膨大なエネルギーを宿すそれは一粒あれば小国一つのエネルギー供給(電気等の不可視エネルギー)を約十年も賄えると言われているもので、それゆえ希少価値が高く、アルコバレーノを手中に収めたいがために、宝石以上の値がつけられて売り買いされているものだ。
炎の涙。一滴の炎。別名は色々あれど、その結晶は『Una goccia della fiamma』――『炎の雫』と呼ばれているらしい。
***
続きは買ってからのお楽しみv(笑)