A*H
存在理由-raison d'etre-
RE-ZONDE-TORU
ジャンル:復活/リボツナ・コロツナ(パラレル)
発刊:2010年05月09日
仕様:B6コピー※成人指定
頁数:80P
価格:¥800
設定がややこしいパラレル小説です。年齢、設定、色々弄り倒してます。(綱吉25歳・コロ17歳・リボ15歳くらい、かな?)
基本的には暗殺者×刑事ネタですが、一応ボンゴレファミリーも出てきます。・・・人出て来過ぎです。
全体的に暴力シーン有りなので、成人指定で宜しくお願いいたします。(性的もないこともないですが、どっちかと言えば暴力の方がキツいかな?/笑)
表紙の通り、いろんな人に苛められます。
最低な先生最高!ヘタレなコロネロ愛してる!
受け(ツナ)イジメ素敵!
共感してくださる方、ぜひオタメシあれ(笑)
▼以下おためし (文)
「いたか?!」
「いやこっちには。そっちはどうだ」
「・・・駄目だ。畜生!ここまで追い詰めて逃げられたってのか?!」
薄い壁越しに聞こえる足音。鳴り止まない怒号と銃声。
「いや、まだ諦めるな。・・・あの怪我だ。そう遠くへは逃げられん」
「探せ!この辺りにいる筈だ!!」
ビルとビルの僅かな隙間に身を寄せ、気配を消す。。
『仕事場』から逃れてきた反動の呼吸は、幸い雨の音が消してくれている。月も星も隠れた真っ暗な雨の中、捜索のライトは消えない。
「諦め悪ぃなコラ。チッ・・・これなら、見つかるのも時間の問題か」
『仕事』は完全な失敗に終わった。ターゲットが幼い子供を連れていなければ。あるいは、標的が子供を庇うように守ろうとしなければ。
彼は今こんな場所で息を潜めてなどいなかっただろうに。
「くしょー・・・情けねーな・・・コラ」
扉を開けて三秒以内。銃口を標的に向け引き金を引く瞬間に、まさかではあるが躊躇ってしまったのだ。
目の前で父親を殺される子供。
『仕事』を見られた以上、その子供も殺さなくてはならない。
それがこの世界で生きていくための『ルール』なのだから。
だけれど、彼はそんなルールに嫌気が差していたのも事実だ。
「それを理由に失敗した・・・とは言いたくねぇが・・・」
誰も居ない路地裏だからこそ弱音も悪態も吐ける。押さえた脇腹からは脈に合わせて激痛が押し寄せる。溢れる血が指の間を流れ出していく感覚は、生きる時間がすり抜けていくように感じられた。
「まぁ・・・あいつらに見つかる前に死ねるなら・・・それでもいいか」
溢れる血は止まりそうもない。何発貰ったかそれすらもうろ覚えだ。
思考する速度は衰え、全ての音が遠く・・・小さくなってゆく。
彼はそっと目を閉じた。
「・・・・・・・・・生きてる?」
突然掛けられた声に驚いて、銃を構える。死にかけていても条件反射はなくなってはいない。
「・・・あっぶないなぁ!今ここで撃ったら、あいつ等に見つかるよ?」
傘を差した男は何故か銃を怖がる素振りすらなく、自然な足取りで彼の方へ歩み寄ってきた。彼が座り込む隙間には傘が入らないと判断したのか、冷静に閉じた傘をたたみながら。
「・・・近付くな。ここからさっさと消えろ」
暗すぎて表情どころか髪や目の色さえわからない。声からして若い男だとはわかったが、銃口を向けられれば普通は怯えるものだろう。けれど。
「はいはいわかってる・・・って」
「っ・・・?!」
触れる生地は硬い・・・けれど、大分とよれたスーツ。たいして良い品でもない。どう見ても一般人の男のどこにそんな力があるのか、濡れるのも構わず動けない彼を易々と担ぎ上げて歩き出した。
「何すんだコラ!?」
「しー!じっとして。本音言ってこんな所で人生終わりたい?俺なら嫌だけどさ。・・・あと、騒ぐと見付かる」
耳を澄ます素振りに習えば、あれだけ煩かった怒号と銃声は鳴りを潜め、しかし遠くから数多のサイレンの音が近づいているようだ。豪雨の深夜であろうとも、あれだけ銃を乱射されれば警察が動くのは当たり前だが、そんな場所に居る男の存在はなおの事怪しい。
「大丈夫。警戒しないで・・・っても普通はムリか。まぁ、警察に突き出したりしないから。とりあえずその怪我を何とかしないと危ない」
彼は青年の本音が掴めない。わからない以上、悩んでも仕方ない。打開策は早急に手に入れておくべきだ。
「・・・何が、目的だ?」
右手に銃を握り、彼の四角から心臓に押し当てる。銃の存在に気付いているだろうに、返って来た返事もまた思いがけないもので。
「ん、それは今から考えるよ」
明るく即答で答えられてしまっては、彼にも二の句が継げなかった。
警戒しているこちらが馬鹿らしくなる。
「・・・ッ・・・!」
気遣いか、ゆっくりと歩いてくれてはいるが、そんな微かな振動でも傷に響いて呼吸が出来ない。
「いいよ、痛いなら。目を瞑って・・・もう休んでいいんだよ」
向けられた暖かい色を浮かべる瞳と、柔らかい声は心地よい歌のようで、何の抵抗感もなく素直に従ってしまった。
殺し屋とあろう者が。見知らぬ一般人に担ぎ上げられたまま無防備になるなど、後々自身で聞いたとしても信じられないことだが。
一度目を閉じてしまえば急速に意識は沈み、彼はそのまま眠るように気を失った。
◇◇◇◇◇
「・・・っ・・・!」
息を吸う痛みで目が覚めた。
重い瞳を開けば、見なれぬ天井・・・と気付いた瞬間彼はベッドから跳ね起きた。が、同時に横から伸びてきた手に肩を押されて、起こした上半身は再びベッドに横たわることになる。
「はいはい。見なれない部屋でびっくりしただろうけどまだ動いちゃダメ。ね?」
小さな子供をあやすような口調で、ゆるやかに諭される。その表情はただ穏やかで、額に当てられた手の温度に思わず目の前の男を見つめてしまった。
仮にも彼は暗殺組織に所属する殺し屋だ。表の顔もあるにはあるが、やっていることはあまり変わらない。
武術に武芸、重火器の扱いから組み立て、挙句の果てには白兵戦や軍隊の指揮まで、こと『戦い』においてプロである彼にさえ、最も警戒しているはずの『目が覚めた瞬間』ですら気付けない気配の持ち主。
だけれど、目の前にあるのは慣れてしまった殺気ではなく、ただ穏やかな空気。
あの夜には気付かなかったが、日本人にしては色みの薄い奔放に跳ねた髪の毛が、一瞬光源に照らされて、軽い自分の金髪とは違う、重く透明な黄金に透けて見えた。
思わず見惚れていると、苦笑を浮かべた琥珀が柔らかく細められる。
「今の君、多分自分で思っているより重症なんだよ。本当は病院行った方がいいんだろうけど・・・」
「・・・っ、」
「うん、解ってるから大丈夫。どこにも連絡なんてしてないよ」
国籍もない彼には、医者であろうが病院であろうが、国に許可されていない闇医者以外に、掛かることなど出来るわけがない。
身構えた空気を読んだのか、それともただ単に彼の反応が面白かったのか。青年はくすりと小さく笑いかける。
「銃創じゃ医者になんて言ったらいいかわかんないし、それ、離してくれなかったから」
『それ』と指を指されたのは、右手に握ったままの銃。『殺し』が好きではない筈なのに、この銃身を握っていると安心する。
彼は力の限り握り続けたせいで固まってしまった手をほぐしてから、また銃身を握った。未だ警戒は解けない。
「ええとね。だからここは俺の部屋。並盛から出てはいないよ。今、家には血は繋がってないけど弟と妹みたいな小さいのが二人と、『母さん』がいる。けど、まぁここには上がって来ないだろ」
聞いてもいないのに、青年は彼が知りたい情報を簡単に晒した。
案に家族構成と現在の人数だ。もしかすると証拠隠滅のため全員殺されてもおかしくない状況で、あっさりと。
怪訝な視線に気付いたのかどうか、青年はふと顔を窓に向けて、外を眺める。つられて窓を覗き見れば、ぱらぱらと降る雨はもうじき止むだろう。あの日の雨がそう簡単に治まるわけがない。あの日から一日以上は過ぎているだろう。
「・・・・・何日だ?」
「そうだね。丸二日は眠っていたんじゃないかな」
青年は彼の寝ているベッドに寄りかかるように座って、先ほどから何かやっている。普通銃を持った見ず知らずの人間を家に上げて、更に背を向けるなんて神経がわからない。
そもそも、青年の行動の意味が、何一つ理解できない。
「・・・ん、こんなもんかな。下手で悪いね、慣れてないんだ」
プチッと糸を切る音がして、青年は立ち上がる。手に持った小さな針と糸を手馴れた様子で片付けながら、それ、と顎で示した。
「君が俺と同じぐらいのサイズで助かったよ。まぁ・・・身体の厚みに違いはあってもTシャツなら許されるよね・・・?あ、えっと服は勝手に着替えさせたけど、とりあえず変なものには触ってないから」
繕い物でもしていたようだが、どうやら彼の服の脇腹に空いた穴を塞いでいたらしい。綺麗に畳んで、ベッドの横に。身に着けていた装備品も弄られた様子もなく服と同じ場所に置いてあった。
「じゃ、これ。ここに置いとくから、とりあえず水はそこに、未開封のミネラルウォーターだから安心してどうぞ」
そこまでを一息で軽く言って、部屋を出ようとする。
そろそろこの男のテンポから逃げ出したくて、声をかけた。
「・・・オイ、コラ」
「なに?」
「どこへ行く?」
「下。そろそろ昼だよ。腹減ったろ?」
見た目ではまだ若い・・・笑った顔は幼くさえある・・・だろうに、どうにも纏う雰囲気が子供ではない。いぶかしむ視線に苦笑して、青年は食事を急かしていると勘違いしたのか、言葉を付け加えた。
「すぐ戻ってくるよ。二日ぶりだもんな」
「いい、余計な」
お世話だと続けようとした所、ドアを閉める前にもう一言。
「動かないでね。わかった?」
「・・・・」
パタンと閉じられる扉。
基本的に、人の話はあまり聞かない男らしい。
意識は大分しっかりしてきた。血もそんなに失ってはいないらしい。
だが、彼にはまだ青年が何者で、何のために世話を焼いてくれているのか検討もつかない。
何か見かえりでも求められるのか。そう考えるのが普通だろう。けれど、何故か懐かしい感じがして考えがまとまらなかった。
彼は青年を知っている『気がする』のだ。
(前にも・・どこかで・・・・?)
痛みを堪えて、彼はベッドから起き上がる。
「・・・上手いもんじゃねえか」
畳まれた服の破れた部分を探してみても、すぐには見つからない。
目を凝らしてこの辺りと探さなければ、破れていたとは気付かないほど綺麗に繕われていた。
「あ、動かないでって言ったのに」
何か盆を持って部屋に入ってくる青年。初めから用意してあったのか、本当にすぐ戻って来た。
「素人縫合なんだから傷口開いても知らないからね。あ、でもここで死ぬのはやめて。後片付け(死体処理)なんてできないから」
「人を勝手に殺すなコラ。と言うか・・・ここで死なれたくないなら連れて帰らなければいいだろうが」
机に乗っていた雑誌を下に降ろして、盆を置く。
「あのさぁ。でも普通死にかけてる知り合い見つけたら、助けたくなんない?」
立ったままの彼をベッドに座らせて、青年は包帯と薬を取り出した。
「・・・・・・は?」
普通にさらりと答えられてしまった。彼と青年は知り合いだという。
「ほら上着脱いで。包帯替えるから動かないでよ」
てきぱきと包帯を替えていく様をみて、こんなに手馴れているのも珍しい。一般人では普段見ることも無いだろう銃創でも平気な顔をして検分していく。
「はい、出来た。幸い弾は貫通。残ってない。残ってたら流石にここじゃ処置できないし良かったね。患部自体は静脈を浅く掠っただけで済んでる。でも太いのやられちゃったみたいだから、血がいっぱい出たのもそのせいかな」
傷の治療も軽く出来、軽度も見分けられる。本当にただの一般人ではないだろう。
その疑わしげな視線に気付いたのか、青年は顔を上げて笑った。
「あぁ、こういうことには職業上慣れてるんだ。あと、まぁ・・・君も知ってるはずだけど・・・知り合いに厄介なのがいてね」
「俺も知ってる・・・?」
「というか君の・・・同僚、かな。・・・知らない?俺のことは」
「いや、顔に見覚えは、あるんだが・・・・」
「そう、すっかり忘れ去られた訳じゃなかったんだね。・・・よかった」
誰もが人好きのする笑顔で笑われて、彼は一瞬我が目を疑った。
確かにこの笑顔は知っている。今のように同僚(アイツ)の隣で笑っていた。
それを思い出すと、彼は唐突に青年の名前を思い出した。
「『沢田』・・・だった・・か」
「ん、そう。沢田綱吉。・・・綱吉でいいよ」
「あぁ、綱吉。リボーンの、隣にいたな」
「そうだね・・・。リボーンとは・・・、そうだから」
言い辛そうに言葉を濁して、綱吉は盆に載せてあった茶碗に湯気を立てるお粥を注ぐ。
「話もいいけど、まず何か食べなきゃね。治る怪我も治らないよ?」
はい、と手渡された茶碗。だが、この職業柄、他人から与えられた食物をすんなりと口に運ぶ訳には行かない。その躊躇いも読まれたのか、綱吉が口を開く。
「変なものは入ってないから。心配だったらまず俺が食べようか?」
「いや・・・いい」
信用できる気がした。
いや、もしここで裏切られたとしても任務の後始末に失敗している以上、それでも構わないと投げ槍だったのかも知れないが。
そんな杞憂も無駄に終わった。
「・・・・美味いな」
「そう?よかった。子供たちの看病とかで良く作るんだ。まぁめったにやらないから腕も上がらないけど、ね」
『下手くそだから』、『慣れてないから』
それがこの青年・・・もとい綱吉の口癖らしいが、やることは人並み以上に出来ているだろう。
「いるんだな、お前みたいに何でも出来て顔も良い奴・・・」
「はぁ!?そんなこと初めて言われたよ!っていうか俺顔平凡だって。こんなのどこにでもいるいる。お世辞言われても何もでないよ」
本当にそう思ったからそう言っただけだ。世辞でも何でもない。
けれど、綱吉は苦笑を浮かべたまま、言葉を吐いた。
「それに、『何でも』なんてあいつが聞いたら鼻で笑うよ。・・・まだまだ足りない所だらけだよ、コロネロ」
空になった茶碗を差し出したコロネロは少し驚いて綱吉を見つめ返した。
「覚えてるよ、あのビルで会った時。・・・あの時も君は死にかけてた」
◆◆◆◆◆
同僚のラル・ミルチに肩を担がれて、深夜、表向きは清掃会社のビルへと戻ってきたコロネロ。
「早く担架と輸血を。急げよ」
止血をしても止まらない血。意識は朦朧として回りも見えず、声も聞こえるが曖昧だった。
「遅かったなラル。上手く仕留めたか?」
「お前か。あぁ、いつも通りだ。で?そいつは何だ?」
「何でもないただの一般人・・・だが、知ってる奴だから警戒すんな」
「沢田綱吉です。今日は表の仕事の依頼で来てたんですけど・・・・」
「こっちに引っ張り込んだな・・・?」
リボーンをじろりと睨んだラルが低い声を出して言う。
「いいだろ俺の勝手だ。それにコイツは元々知り合いだしな。・・・俺の方の準備が出来たんで先延ばしにしていた契約切りに連れてきただけだ」
「契約・・・?なんだそれは」
「まぁそれはこっちの話だ気にするな。・・・で、アイツはどうした?」
「・・・・しくじった」
立ち尽くす綱吉から離れ、意識も朦朧としたコロネロへと近づいてくるリボーン。その声には、明らかな嘲りが含まれていた。
「あー、またか?お前、実は撃たれるの好きだろう?」
『リボーン』は、年で言えばまだほんの子供でしかない少年だ。けれど、掃除屋としてもう歴は長く、恐らくこの業界の誰よりも凄腕なのだろう。こと銃火器に関しては敵うものはいまい。
それに較べてコロネロの最も得意とするものはナイフだ。銃も、ライフルならまだしも、短銃の腕はまだまだ甘い。・・・そして、覚悟も。
「『ガキは殺したくない』だの弱っちいことばっか言って、いつも躊躇うよなお前。そういう戯言をいつまで言ってるつもりだ?」
コロネロを心配する素振りもなく、リボーンはただ冷たく言い放つ。
「この仕事を受ける以上、生半可な気持ちで生き残れると思うな。お前の失敗のツケは誰が払うと思ってんだ?」
「リボーン、そんな言い方・・・」
「お前は黙ってろ。コロネロには掃除屋なんて元々向いてねーんだ。この調子じゃ、すぐ失敗して死ぬのがオチだな」
「悪態はもういいかリボーン?・・・おい、早く行け」
今まで黙って聞いていたラルが、医療班をせかして医療室へと追いやった。
◆◆◆◆◆
「・・・あぁ、あったなそんな事も。あいつはガキの癖に、仕事のことになると性格変わるからな」
おかわり分を注いで差し出した綱吉は、くすくす笑いながら言う。
「でもね、実はあの後荒れてたんだよ。手加減ってもの忘れたみたいにしてくれないし、口から出るのは『バカネロ』ばっかり・・あっと、聞かなかったことにして?」
茶碗を受け取って、困った顔のコロネロ。リボーンの態度に納得行かないような顔に、綱吉は言葉を続けた。
「・・・リボーンなりにコロネロのこと、心配してるんだよ」
その綱吉の言葉に溜め息を零して、コロネロは口を開いた。
「・・・そうか?まぁ、それにしてもリボーンもいいのを見つけたもんだぜコラ。・・・あんな奴でも、ベッドの上では優しいのか?」
コロネロは軽いからかいのつもりで言ったのだろう。綱吉もそれには気付いていたが、無理に笑ったような、泣きたいような顔をして、口を開いた。
「・・・傷、随分いいみたいだけど。所詮俺は素人だし医療班の人に見てもらった方が良いよね」
「綱吉・・・?」
「それ食べ終わったら着替えて下に下りて来て。ビルまで送るよ」
コロネロと目を合わせないように俯きつつ、盆を持って部屋から出ていった。
「何なんだ・・・?」
リボーンとの情事を聞いた途端、綱吉は困ったような・・・どこか寂しげな表情を浮かべたのだ。
まぁ、自分の床事情など他人には言いたくないものだが、リボーンは少しでも気に入った相手なら誰とでも寝る。それこそ女でも男でも見境はない。ある意味、それがステータスなのだろう。
綱吉もそんなリボーンの愛人の一人であるとは理解していたのだが、あの反応を見ると、もしかして違うのかもしれないと思い始める。
下世話な勘違いでもしてしまったのかと、コロネロは不安になった。
空の茶碗を机に置いて、畳まれていた服に着替える。
服を脱ごうとして、コロネロの手が一瞬止まった。
何故だがこの部屋から出て行くことに対して、一瞬だが躊躇ってしまったのだ。
「何なんだ・・・?」
『掃除屋』というこの仕事を始めてから、こんなに暖かな空間にいた例がない。ここを出れば、もう二度と心を許せる時間など訪れることもないだろう。何かを寂しがっている自分に苦笑して、心の中の不安を消そうと部屋を出た。
自分の気持ちを誤魔化して、気付かない振りでもする様に・・・――。
◇◇◇◇◇
ちょっと長めでしたが・・・続きは買ってからのお楽しみv(笑)