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A*H

裏10000HIT★キリ番リクエスト 宗瑞様よりv





たとえ叶わぬ願いだとしても、それがたったひとつの願いなら・・・・・








* Forever... 2 *








「・・・・で、なんでこうなるんですか?!」
「仕方ないんだって。少しでいいから我慢しててよ」
今夜一晩。
そう言われて、オミはセフィリオに連れられ、とんでもない所へ来ていた。
周りでは美しく着飾った男女が、豪華な食事を摂りながらそれぞれに話をしている。
今ここにいる者たちの殆どが、上流階級の家の者たちであることは一目瞭然だ。
そんな場所にどうして自分がいるのか、オミは不思議でたまらない以上に、少し憤慨していた。
「そもそも僕は元に戻る為に城を出てまで来たんですよ?!なのに何で・・・」
盛大に溜息をついたオミは、頭から足元まで見事に飾られてしまってるのだ。
きわどい場所までスリットの入った、深紅のチャイナドレス。
スリットの下からは、スラリとした白い足が見え隠れしている。
オミが今女性であるのをいい事に、胸の間もギリギリまで見えてしまうデザインだ。
なまじ、裸で立っているより色っぽい。
さっきから怒ったままのオミに視線を流しながら、セフィリオは笑う。
「息抜きだと思えばいいよ。根詰めすぎるのも疲れるし」
隣で優雅にグラスを傾けているセフィリオもいつもの赤い服ではなく、黒地のサテンに金糸の刺繍の入った正装で。
そんなにかしこまった服装ではないにしろ、黒などと言うチャイナ服に身を包んでいた。
場所はレパント大統領の居城、グレッグミンスターの城の中だ。
現在この城では、盛大なパーティーが行われていた。
メインは、オミの服装ににやにやしているセフィリオだ。
正装など滅多にしないくせに、見事に着こなしてしまっている姿はやはり感嘆もので、先程から注目を集めていた。
その横にいるオミも、違う意味でちらちらと見られているのだが。
頭に来ていたオミはその視線には全く気付かない。
「な・・・んでそんなに気楽でいられるんですか。・・・・・・・・・・もう、いい!セフィリオの馬鹿!!」
オミとしては元に戻れるか不安で堪らないこの状況で、明らかに楽しんでいるセフィリオに腹を立てるのも当たり前だ。
「あ。ゴメンって、オミ・・・・!」
後ろで謝るような声が聞こえるが、オミは聞こえなかった事にしてセフィリオの傍を離れていった。
「謝るから、傍を離れるな!オミ!」
声を大きくしても、聞こえないと言うようにオミは人と人との隙間へと潜り込んでしまう。
あんな格好をさせたのは、オミが『自分のもの』だと言うことを他人に見せつける為であったのに。
ひとりでふらふらしていたら、どんな目に遭うのか想像も容易いだろう。
「仕方ない・・・ん?」
グラスを置いて追いかけようとしたセフィリオの前に、突然人垣が出来た。
「あの、マクドール様。ご機嫌麗しゅう」
「この度はご帰還、おめでとう御座います」
「わたくし一目でいいからお会いしたかったのですわ」
「えぇ、お逢い出来て嬉しいわ。本当に王子様のような方でドキドキしておりますの」
「本当に。伝記を読ませて頂きました。あの英雄様とこうやってお会いできるなんて・・・運命です」
セフィリオが何か言う隙も与えず、あちらコチラから沸いてきては言葉の雨を降らせる女性達。
それもこれも、豪華過ぎるドレスに身を包み着飾った、良家の娘達だ。
口々に好き勝手言う彼女達に、セフィリオらしからぬ様子で反論できずにいると、大きな笑い声が響いた。
「相変わらずモテておりますな、セフィリオ殿」
軽快な笑い声と共に現われたのは、レパントだ。
少々固まっていたセフィリオは、その声にうんざりと肩を落とす。
「・・・あれだけ言ったのに。まだ諦めてなかったよーですね」
わざとらしく敬語で話すセフィリオに、それでも嬉しそうにレパントは笑った。
「私が言っても聞かない娘ばかりでね。是非貴方に会いたいと言うのだ。せっかくのこの機会に招待しただけなのだが?」
今日の夕方、バナーからの森を抜けた先にいる国境警備隊から連絡を受けたレパントは、
家に帰っていたセフィリオが夕食を摂る前だと聞いて、オミやグレミオ、クレオとパーン共々そのまま城へと連れ出したのだ。
そうして、城では今か今かと待ち侘びていたパーティーが行われる事となった。
それも、英雄セフィリオ・マクドールのトラン共和国への『帰還』パーティーだ。
それは勿論名前だけで、実際は沢山の良家の娘を招待し、あわよくば結婚させようと言うお節介だが。
どうしてもセフィリオにトランへ戻ってきて欲しいが為の、レパントの最後の作戦だった。
愛する妻と家庭があれば、国から出て行くこともないだろうと、そういう考えだったのだが・・・・・。
「何度も言うように、僕は結婚する気は・・・」
と、言いかけて、目の前の少女達を見、一瞬黙る。
レパントも、ついに気に入った娘がいたと期待したが、そうではない。
「・・・・僕にはもう決めた人がいましてね」
目の前にいるきらびやかな若い娘たちをそっちのけて、遠くを見つめながらセフィリオはゆっくりと微笑んだ。
「・・・きゃ・・」
「あ・・・」
「・・・!」
レパントも初めて見る優しげなその表情に、娘達は其々に頬を染めて恥らう。
「では、そういうことで」
軽く手を上げて去っていくその姿を見ても、娘達はそれが自分だと疑う余地もないようで、其々に恥らっていた。
勿論、セフィリオがその相手の所へ向かって行った事も知らずに。






-----***-----








とん、と。背中を壁に押し付ける。
もう、後ろへは下がれない。
自分を上から見下ろすような影に、オミはおずおずと彼らを見上げる。
「あ・・・あの」
セフィリオの前から抜け出してきたのは良いが、セフィリオの予測通りにそういう目に遭っていた。
少し涙ぐんで歩いていたのが悪かったのか。
人ごみを避けて、静かな場所へ来たのが悪いのか。
いつから後ろをつけられていたのか、誰もいない城の空中庭園へ足を向けた時、いきなり数人の男に囲まれてしまったのだ。
「随分とお疲れのようですね。私の家が城下にあります。参りませんか?」
「いいえ、その涙は誰かに酷いことをされたのではないですか?私がその傷を癒して差し上げましょう」
「ここは静かで良いですね。あぁでも、ふたりきりだとなお良かったのですが」
などと、好き勝手な事を言ってくる男に囲まれて、オミはたじたじだった。
「大方、マクドール様に泣かされた一人なのではないですか?」
「!」
急に、セフィリオの名前が出てきて、オミは息を呑んだ。
セフィリオと離れてから上階へと上がったオミは、下のホールで若くて綺麗な娘達に囲まれている姿を見てしまったのだ。
その誰もが自分とは違う完全な『女性』で。
どう頑張っても、実際は男でしかないオミに勝ち目などない。
今更そんなことを気にするなんて女々しいと思うが、一度考えてしまったことは中々消えてくれなかった。
男なら、あの状況は誰だって嬉しい。たとえ自分にその気持ちがなくても、美しい異性に囲まれるのは嬉しいものだ。
それ以上見ていたくないのに、目はどうしてもセフィリオを追ってしまう。
辛すぎて、会場から静かな場所を探して歩いているうちに、ここまで来てしまったオミだ。
話でしか聞いたことのない空中庭園はそれは素晴らしく、けれどその美しさが酷く辛かった。
ここは、セフィリオがリーダーとして、最後に戦った場所。
無意識でここに辿り着いてしまったけれど、こういう時はやはり同じ星の元に生まれたのだと強く感じてしまう。
恐らく、オミもルルノイエに軍を進めてしまえば、似たような戦争になるのは目に見えて分かるから。
そんな時、落ち込んだ様子のオミに声をかけてくる者たちがいた。全員男で、見た目は誰も悪くない。
けれど、やはり人目で良家の出身だと分かってしまうような弱々しさが漂う。
同じ良家の子息でありながら、彼とは全然似ても似つかない男達。
「マクドール様も酷い人だ。こんな可愛らしい方を捨てるなんて」
「先程見ましたが、良家の娘に囲まれて嬉しそうでしたね」
「けれど、遊びで終わってしまうんだろう。あの方はそういう人だ」
言い合って、軽く笑う男達に、オミはむっと表情を固める。
「・・・・っ」
知らないから、そうやって軽く言えるのだ。
あの人が生きてきた苦しさや辛さを知らないから、憶測でしかない無責任なことが言えるのだ。
けれど・・・・。
「・・・・・ぅ・・っ・・・」
どうしてか、涙が溢れ出した。
もしかして、心のどこかで、今彼らが言ったその事を思っていたのかもしれない。
ずっとずっと考えないようにしていた事が、突然溢れ出してしまったようだった。
「あぁ泣かないで下さい。私が、忘れさせて差し上げますから」
「いえ、僕が」
「いや、俺が」
「何を言う。わたしだ」
自分勝手に言い合う彼らに背を向けて、オミは庭園の先へ走る。
どうでもいいから、今は一人にして欲しかった。
けれど、大きな男性の手で、多少細くなってしまった腕を捕まれてしまう。
「・・・っ!」
離してと振り払うその前に、腕を引かれて抱き込まれてしまった。
その広い胸と、嗅ぎ慣れた匂いと、腕の温かさに・・・・・オミは驚いて見上げる。
「セ・・フィリ・・・オ・・・っ」
「・・・なに泣いてるのオミ」
せっかくクレオに綺麗にしてもらったのに。
目尻を指で拭われて、もう片方の目はキスで涙を舐めとられて。
何も変わらないセフィリオの仕草に、オミはホッとして息をつく。
「もしかして、泣かされた?」
あいつ等にと言いながら、セフィリオの右手に熱を感じたオミ。
「ち、違うから!大丈夫だから・・!」
慌てて右手を掴んで止めて、真っ直ぐにセフィリオを見る。
「・・・どうして、ココへ連れて来たんですか?」
名目は帰還パーティーだと言っても、異様に若い女性客の多いこの状況では、レパントが何を目的としているのか分からないほど、オミは鈍くない。
見ているだけが辛いのだから、オミは来なければ良かったと今更ながらに思っている。
けれど、来ていなければそれはそれで、待つだけがどれだけ辛いか思い知らされていただろうが。
オミの言葉に、セフィリオは至極嬉しそうに微笑んで。
「オミを、皆に紹介する為だけど?」
「しょ、紹介って・・・」
「勿論、『大切な人』だって。恋人の方がいい?それとも婚約者にしようか」
「ちょ、ちょっと待って・・・!」
オミの静止も聞かず、セフィリオはオミの手を引き、悠々と歩いていく。
空中庭園の出口付近ですれ違いかけた男達に、セフィリオはキツイ眼光を浴びせながら笑った。
「・・・前半は事実だけどね。・・・・・で、誰がオミを捨てたって?」
「・・・・」
先程の割り込めない雰囲気を見せ付けられて、文句を言える者は居なかった。
逃げるようにその場から消える男達に鼻で笑って、セフィリオはオミに振り返る。
「・・っん!」
「次にこんな事があってもいいように、徴(シルシ)付けとこうか」
くすくすと笑いながら触れるだけのキスを離されて、オミはきょとんと見上げてしまった。
そんな隙を見逃すセフィリオではない。
立てた襟から見えるギリギリの場所に、赤い花を1つ、散らす。
「まぁ、全身見せればもっと凄いんだけど・・・ね?」
「・・・・~~っもう!いきなり何するんですか?!」
やっと離してもらえたオミは、強く吸われた首筋を手で抑えながら、真っ赤になって怒鳴る。
それでもセフィリオは、当然顔できっぱりと答えた。
「マーキング。首筋のキスマークは『威嚇』だって言うし」
「そんなの・・・・知りませんっ!」
オミはふいっとせフィリオから目を背けて、唇を噛んだ。
何だか、体が女性になってしまった所為なのか、どうしても考え方が女々しくなってしまったようだ。
「オミ?」
「・・・じゃあ、セフィリオは?」
キスマークは所有の証。
付けられたオミはセフィリオのものであることを公言しているようなものだろう。
オミの言葉に、セフィリオは珍しく驚いたような顔をして見せた。
普段のオミなら、絶対に言わない。
「・・・それって、俺が誰の物か、徴を付けたいって・・・こと?」
「・・・嫌なら、いい」
そう言ったオミの顔は、コレでもかと言うほど赤く染まっていた。
セフィリオには全身にいつも付けられているその痕を、オミはまだセフィリオの肌に残したことはない。
オミのそんな言葉に破顔して、セフィリオはオミの額へ口付ける。
「全然。むしろ嬉しい。さぁ、どうぞ気のすむまで」
きっちり閉めていた襟元を胸元まで寛げ、オミの前に屈んだ。
すっと筋の通った首筋からは、いつも間近で見ているはずなのに、直視するのを躊躇ってしまうほどの色気が漂う。
「・・・・ん」
それでも、その誘惑には勝てなくて。
つま先で立ち腕を首に回して、オミは首筋へと唇を埋めた。
「・・・・っ」
「ごめ・・!痛かった・・・?」
「・・・いや。いい気分だ。だから今はもう止まらないかも・・・・」
「っちょ、ココ何処だと思っ・・・っぅんん・・・!」
救い上げるように腰を抱きしめられて、深く唇を奪われる。
呼気までも奪ってしまいそうなそのキスに、オミは息継ぐタイミングさえ掴めない。
オミの胸を押して突っ張る腕から力が抜け落ちるまで、セフィリオの拘束は緩まなかった。






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⊂謝⊃

Forever... :タイトル訳『永遠に...』

まだ続きます。(滝汗)
宗瑞様スミマセン、まだ終わりそうにありません・・・!
こんな軽いノリの話でよかったのかとか、今更不安ですが(遅)、
メールでは楽しんでいただけているようなので、ちょっと一安心ですv(笑)
では、そろそろ裏と参りましょうかっ!(・・・出来るかな男女とか・・・/オイ)

斎藤千夏 2003/12/10 up!