*A Beautiful Lover*
3 UNDER SIDE
あまり何も考えないようにと黙々と手を動かすだけ動かして、グレミオのレシピ通りに手際良く進めていく。
オミの様子が少しおかしいのは感じていたけれども、淡々と料理をしているその姿を後ろから眺めたまま、セフィリオは緩く微笑んだままだ。
「・・・・・・ずっと見てる気ですか?」
気にしないようにはしているのだけれども、追いかけてくる視線を背中からずっと感じていれば誰だって気になる。
手元から目を離さないまま、後ろのセフィリオに小さく尋ねてみるが、答えは予想していたもので。
「うん、ダメ?」
甘えるような声に、沈みかけた気持ちが少し和らぐ。
でも何となく物足りなくて、出来るだけ冷静を装った声で告げた。
「はっきり言えば、邪魔です」
いつでも何処でも、誰に見られていても集中出来ないなんて事はないのだが、それがセフィリオの視線となると話は別になってくる。
セフィリオの事を考えまいと手を動かしていながら、背中の視線が気になって仕方なくなってしまうから。
出来る事なら、この場から出て行って欲しいと思ってそう告げたのだけれども。
「・・・ひどいなぁ。でも、オミが料理してるの見ていたいんだ。向こうに一人でいてもつまらないだけだろう?」
「ここにいて楽しいんですか?」
「楽しいよ?」
引き下がる気など全く無い様子のセフィリオは、溜息を零す背中に視線を止めたまま微笑んで見せる。
その笑みをオミは見ていなかったせいで、いつも彼が何かの効力を狙って浮べる笑みとは違うものであることに気付かなかった。
むしろ、セフィリオ本人でさえ気付いていないような、嬉しさを隠せない自然な笑み。
「・・・わかりました。居ても良いですから、絶対にそこから動いちゃ駄目ですよ」
トントンといい音を立てながら、後ろを振り返ることなくオミは言う。
けれどセフィリオは柔らかな表情を浮べたまま自然な動きで椅子から立ち上がり、黙々と料理を続けるオミの背後へ歩み寄った。
「・・・どうして?何で、動いちゃ駄目なの?」
「ぅわ!」
突然耳に声を吹き込まれて、オミは小さく飛び上がる。そのまま緩く絡んでくる拘束に気付いた時にはもう遅く、背中から腰を抱き寄せるように抱き締められていた。
「っちょっと!動かないでって言ったのに・・・!」
「ゴメン・・・今日一日くらい、ゆっくりさせたかったんだけどね」
肩に額を押し付けて呟くセフィリオの声音に、気遣いの色を読み取ってオミは苦笑する。
食事の支度に台所に立つオミへ、申し訳なさそうに告げられた言葉は、確かに彼の本心なのだろう。
「・・・あぁ。いえ、そのことはもう」
気遣いだけで充分嬉しかったから、と言いかけたオミのコトバはあっさりとセフィリオの唇に消えた。
「・・・!?!」
顎を後ろへと引き寄せられ、少し苦しい体勢のまま呼気まで奪うようなキスを受けて、オミは驚きに目を白黒させるしかない。
それも、今までのような柔らかいだけのキスではない。少しでも気を抜けば腰が抜けそうになるような深いキス。
「・・・っん・・・ぁ、・・・ふ・・・―――ッ!」
緩く柔らかい愛撫ばかりを受けていたオミの身体は、突然の激しい刺激に成す術もなく溶かされる。
キスが深くなるにつれ、背中から強く抱き込まれ、抱き締めてくる腕がセフィリオの身体との隙間を埋めた。
きつく背中に押し付けられたセフィリオの鼓動の強さを布越しに身体で感じて、思わずオミの頬も赤く染まる。
「・・・我慢、してたんだけどなぁ。オミの背中眺めてたら、どうしようもなく抱き締めたくなった」
「っん・・っちょ・・・っとッ!何っ・・を!ぁっ・・・」
長衣の合わせから難なく入り込んできた指は、止めるヒマもなくオミの素肌を滑っていく。
軽く触れられただけなのに、昨夜の余韻か、はたまた待ち望んでいたセフィリオの手の温度に、オミの身体は簡単に火を灯した。
それでもどこか素直になれないオミは、その接触に安心した素振りなど微塵も見せず、いつも通り嫌がって身体を捩る。
「ば・・・っ!もう、離して下さ・・・ぁ!」
逃げようとするオミの右手にそっと上から手を重ね、持ったままの包丁をそっとオミの手の平から奪う。
握り締めていたものが無くなったオミの手は彷徨うが、間もなく再び上から手を重ねられて、そのままきつく握り締められた。
「・・・抱き締めたらキスしたくなるし、キスしたら・・・もう止まらなくなる」
ますます深く抱き込まれた腕の中で、オミの首筋にセフィリオの唇が振り降りてきた。刺激にビクリと身体を震わせたオミは、内腿に当たる感触に驚いて目を見開く。
それが偶然ではなく、セフィリオが故意に押し付けてくるものだから、彼がオミに何を望んでいるのか理解出来ないほどオミは初心ではない。
「・・・っ、こ・・、な所で・・・!ちょっと待っ・・・!」
「待たない。俺にしてはもう随分我慢したんだよ」
「き、昨日も・・・、したのに・・・!」
「あんなのじゃ足りない。・・・可愛過ぎるオミが悪いんだ」
「ん・・・っゃ・・・!」
耳朶に甘く歯を立てながら、囁きながら吹き込まれる低い声は熱を含んで熱く、欲望に濡れて甘い。
そんなセフィリオの欲求を直接身体に囁き込まれ、刺激に震えたオミの膝は頼りなく震えた。
後ろから支えるセフィリオの腕が無ければ、力の抜けつつある身体はそのまま床にへたり込んでいただろう。
水場の台とセフィリオに挟まれる様にして何とか立ったまま、簡単に追い上げられていく熱から逃げようと身体を捩る。
その時コトコトと静かな音を立てる鍋が目に入って、オミは慌てて告げた。
「・・・こ、・・・な事し・・て!・・夕・・飯、は・・・ッ?!」
「・・・続きの支度は後でも出来るよ。今は・・・夕食よりもっと食べたいものがあるんだ」
そう囁かれたと同時に、突然脚に冷気を感じた。気付かぬ内に長衣の下から手を差し込まれて、腰を縛っていた紐はあっさりと奪われてしまったらしい。
するりと床に落ちた下衣はオミの足首に溜まり、それさえも身動きを封じる枷となってしまっていて、逃げようにも逃げられない。
「ちょっと・・・!も・・っゃ・・・!」
その間にもセフィリオの唇は止まらずに、耳から首筋に沿って肌を滑り降りていく。
敏感になった身体は、抵抗という抵抗など出来ぬまま刺激を与えてくるセフィリオから、それでも逃げようともがいた。
刺激は欲しい。けれども実際刺激を与えられれば、その激しさに耐えかねて無意識で身体が逃げを打つ。
「・・・っん・・・ぁ、・・・は、っ・・・!」
「どうしたのオミ?・・・やけに感じやすいね」
セフィリオにさえ、こんなに簡単で良いのかと思われるほどオミの身体はあっさりと陥落した。
晒された脚をそっと撫でられただけで、台に凭れていてさえ倒れ込みそうになる。
「・・っ・・あ・・ぁあっ!!だ、だめ・・っ!ぃ、・・やだ、め・・・だ・・って・・!」
内股をそっと撫で上げたセフィリオの手はそのまま目的を持って小刻みに震える足の付け根へと移動した。
熱い手の平に包まれた瞬間今まで以上にオミは刺激から逃げようと抵抗するが、指先で緩く撫で上げるといやいやと小さく首を振る程度に落ち着いていく。
動けば動くほど、そんな些細な振動さえも刺激になってしまって苦しいのだろう。
指の先が白く変わる程、台に縋りつくようにしっかりと握り締めて支えつつ、刺激を受け流そうと身体を強張らせるオミ。
けれども撫でていた指先の動きを止めると、またそれも嫌がって身体を後ろのセフィリオへと摺り寄せてくる。
身体を舐めて行く強烈な快楽の火に抵抗しながらも、震える身体はセフィリオを促して先の刺激を待ち望んでいた。
「・・・もう随分濡れてる。オミも、俺が欲しかった?」
「っ、ぃわな・・・で・・!」
欲しくなかったといえば嘘になる。
昼から続く度重なる軽く柔らかい接触に、焦らすような小さな熱を灯されていたのは何もセフィリオだけじゃない。
「・・・オミ、舐めて」
「ぁ・・・ふ・・ぅ・・、ッん・・・」
重ねていた手を解放して、その指でオミの唇をなぞる。
促すように囁けば、オミは小さな舌を少し伸ばして、誘い込む様にセフィリオの指を口腔に招き入れた。
熱に浮かされたオミの咥内は熱い。言われるがまま、自身の右手でセフィリオの手を掴んで丁寧に舐める度、少し粘度の高い音が静かな台所に響く。
先程まで、嫌がる素振りを見せていたオミはどこへやら。
高められた身体の熱を持て余して、その苦しさから逃れる術は一つしかないのだと知っているから。
その術を用いてオミを解放してくれるのは、・・・セフィリオしかいないから。
「・・・もういいよ。お疲れさま」
唇から零れた雫をセフィリオ自身の唇で拭い取り、そのまま斜めに重ねる。
一瞬深くなったキスは嘘の様に軽く離れて、追いかけてくるオミに小さく囁いた。
「・・・息、深く吐いて」
「・・・・・んっぅ・・・―――!」
小さく零れかけた悲鳴は、再び重なったセフィリオの唇が奪った。
初めからいきなり二本の指を差し入れられたが、充分に濡らした為か痛みはそう感じない。
けれど、やはり慣れる刺激ではないせいか、深く潜り込んでくる指を体内に感じてオミは生理的な涙を浮かべた。
「んっ、ぅ・・・ふ、ぁ・・」
ゆっくりとゆっくりと、いつものセフィリオからは考えられない緩やかな速度で入り込んでくる指は、オミの中を探る様に撫で上げて行く。
そんな焦らすような指の動きは、熱く火照ったオミの身体には物足りなく、それでもキツイ入り口をあっという間に溶かしてしまった。
がくがくと震える脚の付け根に触れるセフィリオの指は、もうすっかり蜜を零しているオミのそれを、後ろを探る指と同じリズムで追い上げていく。
「ぁ、あっあ・・・!」
「・・・もう限界みたいだね。・・・そんなに気持ち良い?」
オミが答えられないのを承知で、セフィリオはオミの耳朶を甘く噛みながらそう囁く。
絶頂まで上りきらないように根元を緩く握り込まれているオミは、高い山を何度も上っては落ちるような快感の波に溺れかけていた。
「だ、め・・・っ!このま・・じゃ、服・・っ汚・・・れ・・・!」
「気にすることは無いよ。・・・それよりも、俺は乱れるオミが見たい。・・・ほら、もっと感じて?」
中で蠢いていたセフィリオの指が、今まで意図的に外していたポイントを突然強く押し込んだ。
「ぅあ、あぁあ・・・ッ!!!」
ビクンと反り返ったオミの身体は、強過ぎる刺激に脚の力を失った。
身体を支えている手にさえ力が入らず、開いた瞳で見える世界は白く霞がかった上に星が散る。
根元を塞き止められていなければ今の刺激で達してしまっていただろう。
それで無くとも限界の近いオミは、震える左手で下肢に触れるセフィリオの手を掴んだ。
「・・・ん?どうかした・・・?」
分かっているくせに問い掛けてくるセフィリオを、オミな涙を浮べた瞳で強く睨む。
「・・・言葉で言わなきゃわからないよ?」
もう充分に蕩けた縁を親指でなぞられて、オミの身体はざわめいた。
指だけではもう、満足出来ない。
このままでは、ただ解放されたとしても疼く体は治まらないだろう。
言葉にするのは躊躇われた。けれども、このままの状態でいる方がもっと辛い。
懇願するように吐いた言葉と同時に、耐え切れなくなった涙が頬を流れる。
「・・・っも、・・・だ、め・・・っ、も・・・お願・・・ッ!」
「もう、我慢できない?・・・わかったよ、あんまり苛めたら可哀相だからね」
流れる涙を唇で拭い、オミの中を溶かしていた指をするりと引き抜く。
「・・・んっ」
「・・・大丈夫、すぐにあげるから。・・・でもきっと、オミはもう持たないだろうけどね」
「は・・っ、な・・・に・・・っ・・っひ、ぁ・ああ・・―――っ!」
引き抜かれたと入れ違いに、今までとは比べ物にならないほどの圧迫感がオミを襲う。
指の細かな動きとは違い、ただ入ってくるだけで深く脈を打つ熱の塊に、オミの脚はついに力を失った。
オミの身体を支える為に塞き止めていた指が外れ、受ける衝撃をそのまま身体の外へと解放してしまったのだ。
「・・ほら、やっぱり我慢・・・出来なかったね」
くすくすと耳元で笑うセフィリオの声は、今まで以上に掠れて、濡れている。
解放直後の敏感な身体にその声は危険だった。ぞくぞくするような快感の余韻が今だ消えもせずに身体中を駆け巡っていく。
痺れた脚はもはや身体を支えていられず、膝から落ちそうになるオミの身体をセフィリオは腕で支えて、手前の台を掴ませた。
「・・っ、しっかり立って。・・・まだ、終ってないんだから」
快楽に震えるオミの中は、引き込むように蠢きつつも入り込んでくるセフィリオをきつく締め上げる。
「これじゃ動けないよ・・・?もうちょっと、力、抜いて・・・オミ」
「ぁっ、や・・・!む・・・りっ・・」
小さく震える身体は、もうオミの意思通りになど動いてはくれない。
「仕方ないな・・・」
そう小さく呟いたセフィリオは、吐精したまま項垂れているオミの中心に指を滑らせる。
とはいえ、敏感なままのそこに突然触れられて、先端を撫でる指先の動きにオミの唇からは繰り返し荒い息が零れ落ちる。
与える刺激を素直に受け入れるオミは強張っていた身体の力が徐々に抜けていきつつあることに気付いていない。
こういう行為は緊張と弛緩の連続なのだ。蕩かされ、再び弛緩した瞬間を狙って、セフィリオは一気に奥まで穿った。
「っぅ、あ・・ッ!」
突然強く内壁を擦り上げられて、息を詰める。呼吸を戻せば、同時に声が零れてしまうから。
「・・・我慢しないで、訊かせてよ。今日なら、誰も居ないんだから・・・」
そう言われても、今は深夜でもなければ裏道に面した1階の端だ。薄い布が引いてあるとは言え、いつ誰が扉や窓の向こうを通るとも言い切れない。
無理だと首を小さく首を振り、オミは無理矢理押し入ってきた痛みをやり過ごそうと固く目を閉じている。
ゆるりと動き始めたセフィリオの手を掴んで、今だ慣れない圧迫感に抵抗を示した。
「・・・動くのも、駄目?」
「・・・待って、も・・・少・・し・・っ・・・」
息を詰める感覚が短くなるにつれて、次第に慣れてきた体内はゆっくりとセフィリオの形に変化していく。
軽い痛みと圧迫感は薄れて楽にはなったが、それ以上に苦しい波が再びオミを襲い始めた。
「・・・っ・・・は・・・」
動かないでと頼んだ通り、セフィリオはオミの髪や首筋に唇を落としてくる程度で大人しくしている。
けれども、深く体内に入り込んだセフィリオの鼓動は強く、自分とは違うリズムの連続にオミの身体は煽られっぱなしだ。
「・・・苦しそうだね?・・・まだ、痛い?」
「そ・・・じゃ、なくて・・・っ」
これでは、まだ彼に与えられる刺激に飲み込まれていた方が幾分か楽だっただろう。
身体が快感に言う事を訊かない以外でははっきりとした意識もある。
流されていれば余り感じない抱かれているという差恥も、今のオミには耐えがたいほど恥かしい。
そんなオミを抱き締めた後ろから眺めて、朱に染まっていく肌がふわりと香りを変えたことにセフィリオは気付いた。
「・・・オミ」
誘うように声を掛けて、微かに振向いた唇を斜めから奪う。
「・・っん・・!」
小さく喉を鳴らしたオミだったが、それでも抵抗はせずにそのキスを静かに受け入れた。
セフィリオを受け入れた衝撃に、オミの身体が慣れてきているのはもうセフィリオとて気付いている。
締め付けるだけだった内壁が、絡みつくような動きに変わっているから。
セフィリオの熱に焼かれ、それよりもっと熱く温度を上げているから。
「・・・あつい・・・オミの中、気持ち良いよ・・・とても」
吹き込んだ声は、セフィリオ自身でも驚くほど熱に濡れて、熱い。
他の誰と合わせた肌の熱さより、生み出した熱より、それら全てを纏めて秤に掛けたとしても、きっとオミには敵わない。
ただじっと待っているそれだけでも、擦り合わせている肌が柔らかく滑らかで心地良いのだ。
何より、この世の中で何よりも求める相手の肌だから。
身体も悦べば、心まで満たされていく。
充足していく気持ちに待ち切れなくなり、セフィリオは今だ微かに震えているオミの耳朶をそっと舐めた。
「ねぇ、・・・そろそろ、良い?」
甘えるように頬に唇を寄せれば、間近で覗き込んだオミの瞳も酷く濡れていた。
燻る熱を奥に湛えた榛色の綺麗な目に、セフィリオは一瞬で余裕を失う。
ぎゅ、っと強く抱き締める力が増した途端腰を引き寄せられ、強い律動がオミを襲った。
「・・・ん、・・・ぁ、・・は・・あぁ・・・っ!!」
最奥まで貫いてくる衝撃は苦しいが、それでも快感に流されたオミの身体は引き抜かれていくセフィリオを逃がすまいと締め付ける。
だが、止まる事のないセフィリオにきつく狭まった内壁を割り開くように穿たれ、擦り上げられる感度は更に増した。
「・・・や!め・・・っ早・・・ッ!!」
「ごめ・・・止まらない・・・」
熱い呼吸の中で囁かれる声に、余裕は感じられない。
それでもセフィリオの動きはオミの身体を知り尽くしていなければ分からないような熱を与えていく。
オミの身体は浅ましく、与えられる快感を貪欲に受け入れて悦ぶが、その律動の速さに付いて行けずに悲鳴に似た声を上げた。
快感の強さに思わず逃げを打つオミの身体をセフィリオ自身と台の間に挟み込むようにして抱き込み、重ねて抵抗を奪うように再び濡れ始めた中心をそっと握り込んだ。
「・・・ひっ・・・あ、ぅ・・・!」
「・・・逃げないで・・・。欲しいんだ・・・もっと・・・」
甘えるように摺り寄せてくる唇は、髪にも肌にもとても優しくて柔らかい。
その癖、乱暴に引き寄せられる腰は容赦がなかった。
「も、・・・だ、め・・ッ・・・!」
吐精したばかりだと言うのに、快楽に弱いオミの身体はあっという間に再び高みへと追い込まれてしまった。
元々オミの身体を知り尽くしているセフィリオに掛かれば造作も無いことなのだろうが、そんなセフィリオの行為は巧み過ぎてオミには少々苦しいこともある。
握り込むセフィリオの手に上から手を重ねて、拘束を解いて欲しいと願うように軽く爪を立てる。
「・・も、少し・・・だから。・・・我慢して?こんなにも・・・君だけだ・・オミ・・・――――」
聞き取れるかギリギリの低音で、耳にそっと囁くように続けられた言葉に、オミの身体中を何かが駆け抜けた。
「っぁ・・・―――!」
堪え切れない絶頂感がいつまでも続くかの様に思えたその瞬間、身体の奥で熱が弾ける。
強烈過ぎる快感に引き摺られ真っ白に染まった意識の中で、何度も何度も繰り返される愛の言葉だけが耳に残った。